９回の入籍と離婚 でも戸籍は真っ白！（後編）
〜知能派サギ師のカラクリ〜
優秀なサギ師は
人の10倍努力し、100倍ラクをする
本籍地を移して都合の悪い記載を消す！
初婚のはずのダンナが、
実はなんと7回も結婚・離婚を繰り返しとって、
しかも妻である自分ですらもう籍が抜かれとる。
それどころか9番目の妻の名が記載されとったんや。
この報告書を持って某警察署に駆け込んだ時のB子さんの形相は、
滝のような涙を流してたんやろか、
それとも鬼の形相やったんやろか。
たぶん後者やろな。
警察の調べでAの正体はたちどころに判った。
前科３犯、逮捕暦5回。
昭和33年、40年と2度も服役しとるサギの常習犯やったんや。
今までの罪状は「有価証券偽造」と「業務上横領」。
皮肉にも結婚サギはこれが"初犯（？）"ていうことや。
Aはほどなく横浜市内のホテルで逮捕された。
警察のハナシやと、同じ届けが14人の女性から出されとって
被害総額は1500万円以上やった。
ほんで、気になる手口のカラクリやけど、
これぞまさしく法の盲点ていうヤツや。
『戸籍法施行規定第37条』を利用したんや。
この条文やと、本籍地を移した場合、
「古い戸籍をどこまで新しい戸籍に記載するか」
は本人の意思に任されてる。
つまり離婚とか子供の有無とか
都合の悪い部分を好きなように消すことができる
ってことや
しかも、本籍地の移転は特別な理由も必要なく、
勝手に手続きひとつで出来るんや。
Aは離婚の度に本籍地を移して、その度に過去の記載を消して、
"初婚"の戸籍謄本を作り上げとったワケや。
すごい事件やと思わんか？
Aの手腕もスゴイんやが、それ以上に
コロコロと引っ掛かるハイミス（死語）
たちの単純さもスゴイやろ。
いや、怖いくらいや。
ひょっとして、オレにもできるんとちゃうか？
そない思たら・・・う〜ン、やっぱ怖いな・・・