■ 印刷された印影がある場合、
■■■■■■■押印と同じに扱ってよいか???
◆ 印刷された印影も押印と同じに考えてよいか
私たちは、ハンコといえばつげや象牙、水牛などの印材に彫刻された印顆、
いわゆる印鑑を考えています。そして、押印するということは、
これらの印鑑に墨や朱肉をつけて印影を紙などにあらわすことと理解しています。
ところが、現実には株券や商品の保証書のように、押印する場合に
「○○会社代表取締役の印」という円印や「○○会社の印」という社判が
赤インクで印刷されている例をみかけます。
このように印刷された印影も通常の押印と同じように考えてよいのでしょうか。
◆ 押印はハンコに限られるか?
記名押印の押印は、記名した人が契約などの内容を承認した「承認のしるし」とか、
その人がその内容に間違いないという「承認、証明のしるし」として押されるものです。
記名押印の仕方は、通常はその人が名前を書き(記名)、その人の印鑑を押す(押印)
という方法によって行なっています。しかし、通常の文書と違い、株券や商品の保証書のように
大量に発行する証明的な文書の場合には、一枚一枚社長が押印するというのは大変です。
そこで、「印刷された印影」でいいかということは、印影をあらわす手段はいわゆるハンコを押す
以外の方法でもよいのか、という問題になります。
理屈から言えば、ハンコを押すことは「承認したしるし」ですから、
ハンコ以外の方法があってもよいはずです。
たとえば、わが国では昔使われた方法に花押があります。花押はその人が「承認したしるし」として重要な書類に書かれました。
また、現在ではハンコでなく署名だけをするという方法もあります。
商法では「記名押印をしなさい」と言わないで「署名しなさい」と言っています。
日常生活のなかでは、ハンコの持ち合わせのないときに拇印をハンコがわりに使うということもあります。
このようにハンコ以外の方法でも「承認のしるし」としては有効です。
とすると、印刷による印影は、型を作って、それによって機械的に大量にハンコによる印影と
同じ印影を作り出したというだけのことです。
押印するかわりに印刷という手段を使ったと考えてもよいでしょう。
機械による場合は、比喩的に言えば会社の三文判の延長ともいえます。
ですから、偽造とか、大量に作られたものを悪用されるということの危険はありますが、
真実に発行されたのであれば、その印影は押印として有効なものと考えられます。