借金するときに、実印・印鑑証明書を
要求されるのはなぜ?
◆借金をする者が本人かどうかの確認
銀行から借金をするとき
「実印」「印鑑証明書」を要求されます。
銀行はこれをなんのために使うのでしょうか。
使いみちのひとつは
「金銭消費貸借契約書」に実印を押し、
これに印鑑証明書を添付するということです。
金銭消費貸借契約書は
「お金を借りました。そして、返済はこのようにします」
という約束が書かれた契約書です。
もし第三者が
本人を名乗って契約したときは、
名義人に返済を請求することはできません。
「私はそのような約束をした覚えがない。
誰かが私の名を勝手に使ったのだ」という主張をされたときは、
銀行としては誰に返済を求めてよいかわからなくなります。
契約書は
三文判や認め印で押印しても有効ですが、
それはあくまでも本人が契約の内容を
承認して押印することによって
効力が発生するものです。
三文判や認め印では
本人が押印したかどうかの証明が困難です。
ところが実印は、本人が自分の印として
市区町村の役所に届けてある印鑑、
つまり本人しかもっていない印鑑です。
そして、この実印で押印するということは
本人しかできないから、実印で押印されているときは、
押印した者は本人に間違いがないということを
裏付けることになります。
しかし、実印で押印したといっても、
押されたハンコが実印かどうかは
印鑑証明書と比較してみなければわかりません。
そこで、比較対照するために印鑑証明書が要求されるわけです。
また、証拠資料として銀行が所持していれば、
「実印で押印された」という証明ができます。
◆抵当権の設定手続きのため
銀行は
お金が返済されなかったときのために、
借金をする者から土地や建物などの担保を出してもらって
抵当権を設定します。
抵当権というのは、
お金が返済されないときに、
抵当権をつけた土地建物を競売して
その代金から返済を受けることができる権利です。
この権利はその土地・建物に抵当権を設定したという登記
をしなければなりません。
この抵当権設定登記手続きには、
土地・建物の所有者が間違いなく抵当権を設定したのだ
ということを明確にするために、登記手続きには、
所有者が申請書に実印を押すか、
登記委任状に実印を押して、
所有者の印鑑証明書を提出することが必要です。
◆公正証書を作るため
銀行は、
返済がないときは強制執行ができるように、
「金銭消費貸借契約」を強制執行受諾約款付の
公正証書にしておくこともあります。
この場合には公証人が、
公正証書の作成を嘱託したものが
本人であることを確認するために、
実印による委任状、印鑑証明書の提出を求めます。
このために実印の押印、印鑑証明書が要求されます。
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