取引は、不動産の売買のように一回限りで終わるものもあるが、
そうでない場合もあります。
それは同じ取引先に常時品物を発注するような場合です。
このような反復継続的になされる取引関係の場合に、
個々の取引のつど契約書を作り、
調印するということはわずらわしいものです。
そうかといって、
ひとつの契約で継続的な取引や長期間にわたる取引について、
将来の注文品、代金などを細かく定めておくということは、
時間的な経過や、そのときの事情の経過に対応できないので、
現実には困難であり不都合なことが生じます。
そこで、このような継続的取引については、
取引についての基本的なことについて取り決めをしておき、
個々の注文については簡略にするという方法がとられています。
この基本的な事項の取り決めを「基本契約」といい、
個々の現実的具体的な取り決めを「個別契約」といっています。
◆基本契約とは継続取引の基本事項
基本契約というのは、前述したように、
継続的取引についての基本的な事項を定める契約です。
したがって、その要素となるのは基本的な取引の仕方、
代金の決済の方法が基本的な骨組みとして定められます。
そのほか、取引が反復し代金額が大きくなるため、
代金確保の方法として保証金を差し入れるとか、
不動産などに根抵当権を設定するとか、
根保証をしてもらうというような事項が決められるのが一般的です。
また、取引が継続的なので取引期間をいつからいつまでにするか、
途中において事情が変わったときの解約方法をどうするか、
事情変更に対処する方法なども定めておくことが必要になります。
ですから、個々の取引契約の共通事項以外に、
取引が反復継続するという性質によって必要になる事項が取り決めの内容となります。
個別契約は、基本契約の枠組みのなかでの具体的な取引を内容とします。
商品の継続的な供給契約であれば、
たとえば、基本契約で納入する商品の種類が家庭用電気製品で、発注がされてから○日以内に納入、納入場所は○○の営業所、
というように決められていたとすると、
個別契約の内容は、家庭用電気製品のうち
「どういう電気製品を」「どれだけ」「単価○円で」発注するなどということになります。
このように、個別契約は基本契約を前提になされるものです。
ですから、かならずしも契約書という形式をとっていません。
たとえば、基本契約で、注文があれば応じるという仕組みになっていれば、
注文することが直ちに個別契約の成立につながるからです。
個別契約の方法や成立は、基本契約のなかに定められているわけです。
前述の例でいえば、基本契約のなかで、
個別契約の成立は発注することによって成立する、としていますから、
発注が個別契約であるということになります
次回は法律の館2階06号室へ!!!