「契約は自由である」という言葉のとおり、
契約は約束事ですから当事者の合意で自由に定めることができるのが原則です。
しかし、契約は自由だからといっても、
社会の秩序を維持するうえから許してはならない約束もあります。
公序良俗違反といっているものがこれにあたります。
また、社会政策から法律で約束してはならないことを決めている場合もあります。
これは、そのような約束を認めると、
一方が強い立場を利用して他方に
不利な約束ができるのが通常である場合を想定して定めているものです。
このように、ゆるされてはならない約束をした場合、その約束は無効になります。
◆公序良俗違反のもの
契約は二人以上の当事者の約束事です。
契約に反したときは契約を解除したり、損害賠償の請求ができます。
これらの請求ができる根拠は契約当事者を含む
もっと大きい国という団体の約束事(法律など)といえます。
国は法律によって個人や団体の権利義務関係についての
ルールを定めて利害関係の調整をしています。
ですから、たとえ当事者が約束したとしても、
その約束の内容が国の立場、
その社会の立場から公の秩序や善良の風俗に反することを認めるわけにいきません。
たとえば、「債務を支払わなかったときは奴隷となって債務者が自由に処分できる」とか、
「指を切って差し出す」というような約束は人道上許されないことで、
無効にしなければなりません。
法律が無効とする約束事には、
「前七条の規定に反する特約で賃借人に不利なものはその約束がなかったものとする」
というように、
法律の条文で明確にされているものもありますが、
法律の規定では明確でないが、
条文の解釈によっては約束は無効だとされるものがあります。
たとえ当事者間で約束をしても、
その効力を認めないという法律の規定をもうけ、
これを強行法規といっています。
強行法規かどうかはその社会、法律の趣旨、法律の他の規定との関係から解釈することになります。
◆任意法規違反のもの
法律の条文は強行法規だけではありません。
当事者が契約で明確にしなかったときはどうするか、
という基準を定めているものもたくさんあります。
たとえば、契約で債務の弁済場所を定めていないときの弁済場所は、
特約物の引き渡しの場合は債権が発生した当時その物のあった場所で、
それ以外の場所は債権者の現在の住所地であるという定めです。
このように、条文で解釈規定であるとしている場合は、
当事者で違う弁済場所の約束をしてもいいということになります。
法律の条文には解釈規定だけでなく、
法律行為の要件や法律効果の内容を定めているものもあります。
この規定に反する内容の約束をした場合、
約束どおりの効果を発生させてもいいという場合は、
任意規定というように解釈されています。
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