騙されるな!!! 皇族になりたがる人々



人間フシギなもんで、 ちょっとしたインチキ募金や悪質訪問販売には目くじらを立てる人も、

話のスケールがあまり人も巨大で荒唐無稽なものになると、

かえってダマされたりするもんや。

その代表的なものが日本国の象徴たるお方をダシにした「天皇」詐欺や。

侵すべからず、やんごとなき領域をたくみについたトンデモ話は平成の世にもつきない。



「中山殿下」が「皇室カレンダー」詐欺


平成不況真っ只中の平成8年の話や。

都内の金融業者Aさんの前に「京都中山家の者」

と称する品性のいやらしからぬ中年男性が現れたんや。





一緒におった女性秘書は男を「殿下」と呼び、

「このお方は明治天皇の母方の家計の五代目にあたる外戚であらせられる」

などと説いたんや。






「中山家」というんは藤原家の末裔にあたる由緒正しい家柄で、

確かに明治天皇の母君は中山家出身なんや。






せやけど、そもそも、そんなやんごとなきお方が街の金貸しのもとを

直接訪れるところから話はちがっているような気がするねんけどなぁ・・・。







さらに「殿下」Aさんに持ちかけたのがいかにもインチキくさい融資の依頼や。

あげくに担保はまぎれもない不良物件だったというからお粗末千万や。

Aさんはもちろん断った。






しかし、「殿下」は懲りてないねん。

同じ年の暮れ、今度は別の「企画」をもって再び現れよった。






「孫文を養子に迎えた中山家が『中山・孫文神社』

銀閣寺そばに建立することになった。

資金集めのために

『天皇皇后両陛下の肖像カレンダー』を作ろうと思う」。

ほんま、おもろい話やで。そいつらに言わすと、

中国の孫文も京都中山家の人間になってしまいよる。






「すでにM生命などをはじめ3万部の注文がきている」と

景気のええ事ばっかり言うけど、

「ついては、印刷費用として1000万円

出資していただければ、1ヵ月後に倍にして返す」

と言い出しよった。



結局は融資の話なんやけど、

このコトバにAさんはまんまと乗せられて

1000万円もそいつらに渡してしまいよった。




ほんで、カレンダーの印刷業者にも

「あとで確実に儲かるのだから、

まずは上納金として2000万円払ってくれ」などと

無茶なことを言うとった。

さすがに印刷業者は取り合えへんかったけど、

ほんま、こいつら、がめついやっちゃで。





当然やけど、出資したAさんのところへ

金は戻ってこえへんかった。

Aさんとて疑いはあったんやろうけど、

終始ロイヤル・スマイル(?)を絶やさへん「殿下」

お公家コトバと女性秘書の恭しい物腰は

そっくりそのものやったらしいわ。



ある日、焼鳥屋に連れて行ったら、

「このようなものは食したことがございません。

これは何という獣なのですか?

なんて笑みをたたえていったちゅうから、

ほんまにそいつらなりきってたんやろな。





けど、実際の「殿下」は、高校中退後、

ブローカーやコンサルタント業を転々とし、

建設会社を興したけどものの数年で

倒産させとるフツーのバタくさいオヤジやったんや。

 

 


詐欺の"プロ"が参謀役か?

 



ともと「殿下」をAさんに紹介したのは

かって金融業者から巨額の融資を引き出し

書類送検されたことのある大物女詐欺師や。

「殿下」というハードを、プロの詐欺師が

ソフト面から支えることによって芝居はますますリアリティを増したようや。






「殿下」はこのほかにも

「近々現金化される予定の旧ドイツワイマール紙幣

大量に保有している」だの「京都においでの節は、

御所の中を案内してさしあげましょう
なんて、

ないことないこと、あちこちで吹きまくっていたようや。

せやけど、よく考えたらイマール紙幣って

コーヒー一杯買うのにトランク一杯の金が

必要やったていうインフレ紙幣やなかったっけ。

それを現金化?まあええわ(笑)。






実は、「京都中山家」を名乗る詐欺師はほかにも多く、

お互いニセモノ呼ばわりしながら

儲け話を持ちかける一種のグループと化しているという話や。




昭和天皇「ご落胤」台湾にも行幸


和天皇崩御の後には、

「昭和天皇のご落胤・白仁王」が現れたんや。

現在の天皇陛下の異母兄にあたるという「白仁王」は、

秘書役をつとめる「渡辺殿下」とともに

中小企業の社長さんを訪ね、

「秘密資金融資」話をもちかけて全国行脚をしていた。

「朕の管理する資産をもとに、中小企業育成基金をつくった。

申し込めば40億円を無償で融資して進ぜる

こんな荒唐無稽乗ってしまった社長さんたちは、

手数料だの保証金だのの名目で200万〜40万円を騙し取られたんや。

被害者は約250人、被害総額は16億円にのぼるというそうや。

また、「白仁王」らは皇族がよく使う有名ホテルを会場に

年2回歌手などを招いて勝手に「叙勲式」を開催していたそうや。



「白仁王」の荒唐無稽は日本国内にとどまらへんかった。

チマチョゴリに身を包んだ「韓国皇室の李成義妃殿下」などを伴って

台湾に渡り、「国連難民救済アジア皇室会議」を盛大に開催。

台湾赤十字会の会長に「日本国国家代表者」

の名のもと勝手に「世界平和賞」なるものを授与していたんや。




会議には「満州国皇帝の弟」と称する

「愛新党羅薄柁」氏も出席したというからもう亡霊の大集合!

その後、「白仁王」一味は検挙され、

アジア制覇(?)の夢は潰されたそうや。




わってみれば、銀行の貸し渋りで苦境に立たされて

ワラにもすがる思いの中小企業を効果的に狙った

平成不況ならではの詐欺でもあったんやなぁ。


1兆2千億円の小切手を持った「語落胤」


「落とし胤」話はようさんあるけど、

スケールのデカい話ちゅうたら

平成8年のシンガポールの事件や。

(ほんまにすごいでこの話は・・・)




シンガポールのとあるアメリカ系銀行の窓口に

ある日本人の女が現れたんや。

その女が差し出した小切手の額を見て、

そこにおった銀行員はめちゃくちゃおどろいた。


なんとその額は1兆2700億円やったんや。

(あんだけ儲かっとる、モー●ング娘。もびっくりの金額やで)




その女は口座を開設して、

その途方もない額を入金したいと言いよった。

銀行はいったん証書を発行したんやけど、

小切手の振り出し行である

日本の銀行に問い合わせてみたんや。



ほなら、あっさり偽造と判明したんや。

ようようその小切手を見たら、

偽造ちゅうても、カラー製版技術を駆使した凝ったもんやなくて、

本物の小切手の金額部分だけを書きかえよって

カラーコピーしただけやちゅう

チャッチィもんやったらしいんや。





確かに日本でやるよりは見破られる可能性が少ないから

外国を狙ったのかもしれへんけど、

だいたいそんなすごい額の小切手を持って、

銀行の窓口に並ぶヤツ、おらんちゅうねん、ほんま。





やるんなら、もうちょっと常識的(?)な額にするべきやで。

ほんま、あほちゃうかこの女?





で、それがなぜ「落とし胤」やちゅうたら、

この女、畏れ多くも「昭和天皇の娘」を名乗っていたんや。



その女のストーリーはこうや。

昭和天皇に次女・久宮が生まれたんやけど

半年後に亡くなっとるんや。

けど、実はっ!(←こんなんばっかりやで)、

久宮は双子で、もう一方は生き残った。

それが、この「昭和天皇の娘」なんや

(うそやで)




そのいっとる女は、その小切手の金額は

「父(←って昭和天皇のこと)が

私のためにのこしてくれた遺産13兆円の一部」

と言うとったらしい。



あほくさっ。



一人しかいないのに「天皇」がいっぱい!!
(5/21)


以上はいずれも天皇の親戚家族を名乗ったサギ事件やけど、

もっとダイレクトに「私が天皇本人である」と名乗っとる「自称天皇」も少なくない。

もちろん、ホンモノの陛下は皇居にいらっしゃるんや。

そのお顔はテレビでもおなじみ

そのへんをノコノコ歩いているはずもないんやから、

「カタる」っちゅうても不可能や。

だから、「もう一人のホンモノの天皇だ」と名乗るんや。

ただしそのいくつかは「サギ」というより、

本人たちは大マジメに「本物の天皇だ」と主張してたんや。


歴史上もっとも有名な「自称天皇」はいわゆる

「熊沢天皇」こと第117代熊沢寛道天皇

終戦直後、「朕こそは天皇である」と

正当な皇位継承件を主張して注目を集め、

アメリカの『ライフ』などの雑誌に紹介されて世界的に有名になった。

これはあながち荒唐無稽なトンデモ話でもないんや。

かつて天皇家が南朝と北朝との2つの系統にわかれたのはホントのはなしでな。

後に主流として行為を受け継いで現在に至っているのは北朝なんやけど、

本来は南朝が正統となるべきだった、

という主張は実際にあるそうや。

熊沢天皇を含めて自称「天皇」の多くは、

この南朝の末裔と称しているわけや。


さて、本人は大マジメだったようなんやけど、

その周囲に集まった連中のなかには、

かなりウサン臭い筋の人間がいたようや。

このあたりが「天皇サギ」の発祥かもしれへん。

熊沢天皇をめぐっては、

やがて「うちこそが本当の熊沢天皇だ」と名乗る別の熊沢天皇が

都合4人も現れて本家本元を主張し、

そのうち親戚のなかに詐欺で捕まる者などもあらわれて、

最終的には何がなんだかわからなくなっているんや。

ほかにも、第100代大宝天皇の末裔「三浦天皇」(愛知県)や、

大覚寺統天皇家の子孫「竹山天皇」(静岡県)など、

20人近い「自称天皇」が現れた。天皇だけでこれだけいるんやから、

皇族だの宮家だのといったら、数え切れないぐらい多いにちがいないんや

 



大マジな本人を「側近」が利用?
(5/22)

 

色々なケースを見てみると、

天皇・皇族自称事件(?)は決して1人では成立しておらへんことがわかるちゅうわけや。

いかにも皇族らしい温厚で物腰柔らかいな「陛下」や「殿下」と、

それを取り巻く側近、参謀たちがおり、

むしろ側近のほうがさまざまなネタを仕込んや様子がうかがえるのや。

「京都中山家」の影には女性秘書と女大物詐欺師が、

「白仁王」には「渡辺殿下」がいたちゅうわけや。

シンガポールの1兆円小切手事件の「昭和天皇の娘」にしたかて、

周辺はずいぶんウサンくさいもの、

本人は本気でオノレの身分を信じとったフシがあるんや。

天皇の娘を名乗る前から「田中角栄は知り合いだ」とようぬかしておったさかい、

虚言癖があったんやろ。

はじめは祭壇をつくって「天皇家と同じ宗教」というていたのが、

いつの間にか「わては天皇家」に「昇格」してしもたらしおます。

また、韓国を頻繁に訪れて、

例の小切手を「戦後補償」の役に立っとったと

大マジメに知人に語ったこともあったらしおます。

もし小切手が、S子の妄想に合わせて側近がでっちあげたもんで、

それを知らんのがS子だけやとしたら、

1兆円の小切手を持って銀行の窓口に行ってまうマヌケぶりもわかるような気がするんや。

S子はまた、「わてがサインしたら、大きな融資がかのうになるの」

やらなんやらとも吹聴しとったちゅう。

そのストーリーとは・・・敗戦のとき、

昭和天皇は国民の命を救うために8800兆円(!!)を連合国に差し出したちゅうわけや。

このいつ部が返還されてプールされており、特別な融資に限って使われとるゆうものや。

 

 

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現代日本のタブーをフル活用のサギ (5/22)

なーんや。これって典型的な「M資金」話や。

M資金はそもそも終戦直後に米軍が

旧やまと軍から接収したといわれとる莫大な隠し財産のこと。

皇室関係の秘密資金やと称するもんも同類と考えてええ。

M資金関連では、詐欺師がワンさ跋扈してんちうから、

もはや立派な「M資金業界」が形成されとるというてええかもしれへん。

ねちっこくは本書第4章をご覧いただきたいが、

皇室、ユダヤ・マネー、中国共産党の隠し資産、G7マネー、台湾発の阪神復興M資金etc・・・、

手を換え品を替え時代の流れに沿ってM資金のトレンドも進化するちうわけや。

「昭和天皇の娘」
ちゅう妄想を抱いた女性は、

こないな詐欺集団に利用されただけかもしれへんのや。

哀れ、S子はシンガポールで服役の身となり、出所予定の2日前に突然肝硬変で死亡してん。

皇室ちうんは、やまとケツの聖域みたいなもん。

あないなことこないなこと、いろいろあったらタイヘンやけど、そやけど何ぞありそう、

あったら楽しい・・・そないな不謹慎で下世話な好奇心が潜在的にあるからこそ、

多少荒唐無稽な話かて、いややからこそ「皇室だもんな」と納得できてもうたりするんや。

被害を受けたほうも、あとで考えたら夢でも見とったとしかええでうがなく、

被害届をオモテにだすことさえ恥ずかしおます。

ほんで、捜査する側にも「もしホンモノやったら、どないしょ」

ちゅう恐れから慎重にやったらざるをえへんし、

いきおい捜査が思うように進まんゆうワケ。

まことにもって、「やまと人的」「天皇詐欺」、

千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで、続くやろう。



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