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契約書とその他の法律文書はどう違うか

◆狭い意味の法律文書とは
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法律文書という言葉がよく使われていますが、

この言葉は一定の定義づけがなされるような熟した言葉ではありません

一般的には、広い意味で法律に関する文書

というような意味合いで使われているようです。

私たちが社会生活を営む場合、

意識しなくとも法律の網がかぶさっていることから、

法律に関する文書をあげればきりがありません。

そこで、もっとも狭い意味の法律文書を考えてみましょう。

たとえば、物の所有権を取得しようという場合は

「買い受けたい」という申し込みをし、

相手方がこれを「承諾する」ことによって売買契約が成立し、

所有権が移転することになります。

このように、所有権の移転という一定の法律効果を発生させるための意思表示

(申し込みや承諾)を内容とする文書(売買契約書)が狭い意味での法律文書といえます。

したがって、相対する当事者間の合意である

契約書はなんらかの法律効果を発生させるものですから、

法律文書のなかのもっとも典型的なものといえます。

それ以外の法律文書の多くは、

たとえば、賃貸借契約の解除の意思表示のように、

契約上の地位を前提として一定の法律効果を発生させるもので、

契約に付随して作成され使われる文書といってよいでしょう。

 

 

◆催告書、通知書などの法律の意味

たとえば、建物賃貸借契約において、

賃借人が賃料の支払いを怠っているとき、

賃貸借契約を解消させるには、

契約解除の意思表示をしなければなりません。

そこで「契約解除の通知」を賃借人に対して行うことにより、

契約が解消するという法律効果が発生します。


この通知の文書は契約の終了という

法律効果を発生させますから法律文書のひとつです。

また、契約解除の前提として、

未払い賃料の催告をしてからでないと解除が適法でないというのが原則です。

したがって、この催告の通知書も法律的な意味合いがあるので法律文書といえます。

◆申込書、承諾書なども法律文書

契約が成立するには、

かならずしも契約書を作成しなければならないものではありません。

一方が申し込みをし、相手方がこれを承諾することによっても契約は成立します。

この場合は、「申込書」や「注文書」あるいは「承諾書」

「注文請書」
が用いられますが、

いずれも法律効果を発生させる役割をもっており、

やはり法律文書といえます。

◆ 規約、規則も法律文書

私たちが生活しているのは前述したような取引の社会だけではありません。

集団で生活する場合の取り決めも、

団体の一員として権利を取得したり、

義務を負う場合もあります。

たとえば、マンションに居住する場合は、

マンション管理組合の規約によって拘束されます。

また会社においても、就業規則等によって取り決めがなされています。

これらも法律文書といえるわけです。

次回は法律の館2階09号室へ!!!




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