契約というのは、売り主と買い主の約束事です。
ですから、契約の当事者の合意があれば成立し、
かならずしも書類にしなければならないものではありません。
そして、「口だけの約束事」については
印紙を貼ることなどは物理的にもできません。
このことからわかるように、
「約束事」「契約」ができるためには印紙はなんら関係ないものです。
「印紙を貼りなさい」という国の命令は、
あくまでも書類なのです。
それでは、どうして印紙を貼らせるのでしょうか。
◆ なぜ印紙を貼るのか
取引についての書類はいろいろありますが、
書類の性質、種類、金額によっては印紙を貼らなければならないことになっています。
どういう書類に印紙を貼らなければならないかは「印紙税法」で定めています。
「印紙を貼りなさい」という国の命令は、
国が取引などで財が動くところに着目して
税金をとろうという政策からくるものです。
おおまかに言えば、利益が出るような営業に関するものについて
印紙を貼ることを義務づけています。
これとは逆に、利益が出ないような営業に関するものには
課税しないという方法をとっています。
もっとも、その例外はありますが、
これは国の課税政策によるもので何が正しいとかいうものではありません。
そして、この税金の徴収を、
これらの取引に関する書類に「印紙を貼らせる」ということ、
言い換えれば「印紙を買わせる」ことによって行なおうとするわけです。
貼った印紙には「消印」をすることになっています。
そして印紙には当事者が消印をしなければなりません。
消印というのは、貼った印紙と貼られた書類にかけて
ハンコを押すことをいいます。
これは、一度使用した印紙をはがして、
ほかの書類に貼ったりすること、言い換えれば、
税金の支払いをしないで税金を払った形にしようとするのを防ぐためです。
契約書などで当事者が多い場合には、
当事者全員が印紙に消印をすることはかならずしも必要なものではありません。
契約当事者の一部の者が印紙に消印をすることでも、
使用済み印紙の再度の使用、脱税は防げるからです。
◆印紙を貼らないと無効か
印紙を貼るということの趣旨は税金を納めるという意味です。
したがって、契約が成立したか、契約が有効か、などとは関係ありません。
これはあくまでも税金の問題であって、
印紙を貼らなくても契約は有効です。
ただ、印紙税法違反として罰せられることはあります。
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