契約というのは、「売りましょう」「買いましょう」というような
当事者間の合意の内容、いわば約束事をいいます。
このような合意を作るためには、誰が当事者なのか、
誰と折衝するのか、また誰が調印するのか、
ということに注意する必要があります。
たとえば、赤ちゃんでも
土地の所有権者になることができます。
この場合、取引の当事者はその赤ちゃんですが、
取引する能力がないから、
折衝や調印は赤ちゃんの法定代理人
(親権者または後見人)としなければなりません。
また、禁治産者も権利者にはなれても取引能力がないから、
後見人と折衝、調印することになります。
◆会社と交渉の場合折衝の
相手はだれになるか
会社も権利を取得したり義務を負うことが
できることになっているので、
取引の当事者となることができます。
しかし、会社というのは、私たちと違って
手や足があるわけではないから、
取引をするときは誰と折衝したらよいかということになります。
法律では会社の行為を誰がするかということを決めています。
たとえば、株式会社の場合は、
代表取締役が会社を代表して行為することになっています。
ですから、取引は代表取締役を相手に折衝し、
調印することになります。
しかし、どんなときでも代表取締役で
なければならないとすると、
社長兼小使いのような会社でない限り
動きがとれなくってしまいます。
そこで、代表取締役でなく、その会社の従業員でも、
担当事務の範囲内であれば会社の行為をすることが
できることになっています。
つまり折衝の相手方は、その会社で
権限が与えられている担当者ということになります。
◆契約書などの調印は誰がするのか
契約がまとまって契約書を作る場合、
契約の当事者は代表取締役でもなければ
担当者でもなく会社です。
ところが、現実には「○○株式会社代表取締役乙野次郎を乙として」という表現に
ぶつかることがあります。
これは間違いです。読み方によっては当事者は「○○株式会社」なのか、
たまたま○○株式会社の代表取締役である「乙野次郎」なのか
区別がつかなかったりするという問題が出てきます。
このような場合は、
会社を取引の当事者として
「○○株式会社を乙として」という
表現ではっきりさせたいものです。
契約書に調印するのは、理屈から言えば、
従業員であっても、会社の権限がある担当者が
調印すればよいはずですが、
通常は会社の代表者が調印しています。
契約は重要なものです。
仮に担当者に権限がなかった場合を考えると、
対外的に代表権のある代表取締役に
調印してもらうことによって確実なものとすべきです。
そのまま次回は2階16号室へ!!!