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取引先の誰と契約するのか(5/25)

◆契約についての権利者と
 行為者は同じとは限らない


契約というのは、「売りましょう」「買いましょう」というような

当事者間の合意の内容、いわば約束事をいいます。

このような合意を作るためには、誰が当事者なのか、

誰と折衝するのか、また誰が調印するのか、

ということに注意する必要があります。




たとえば、赤ちゃんでも

土地の所有権者になることができます。

この場合、取引の当事者はその赤ちゃんですが、

取引する能力がないから、

折衝や調印は赤ちゃんの法定代理人

(親権者または後見人)としなければなりません。

また、禁治産者も権利者にはなれても取引能力がないから、

後見人と折衝、調印することになります。



◆会社と交渉の場合折衝の
 相手はだれになるか



会社も権利を取得したり義務を負うことが

できることになっているので、

取引の当事者となることができます。

しかし、会社というのは、私たちと違って

手や足があるわけではないから、

取引をするときは誰と折衝したらよいかということになります。




法律では会社の行為を誰がするかということを決めています。

たとえば、株式会社の場合は、

代表取締役が会社を代表して行為することになっています。

ですから、取引は代表取締役を相手に折衝し、

調印することになります。



しかし、どんなときでも代表取締役

なければならないとすると、

社長兼小使いのような会社でない限り

動きがとれなくってしまいます。

そこで、代表取締役でなく、その会社の従業員でも、

担当事務の範囲内であれば会社の行為をすることが

できることになっています。



つまり折衝の相手方は、その会社で

権限が与えられている担当者ということになります。



◆会社が当事者であることのあらわし方

契約がまとまって契約書を作る場合、

契約の当事者は代表取締役でもなければ

担当者でもなく会社です。

ところが、現実には「○○株式会社代表取締役乙野次郎を乙として」という表現に

ぶつかることがあります。

これは間違いです。読み方によっては当事者は「○○株式会社」なのか、

たまたま○○株式会社の代表取締役である「乙野次郎」なのか

区別がつかなかったりするという問題が出てきます。


このような場合は、

会社を取引の当事者として

「○○株式会社を乙として」という

表現ではっきりさせたいものです。


◆契約書などの調印は誰がするのか


契約書に調印するのは、理屈から言えば、

従業員であっても、会社の権限がある担当者

調印すればよいはずですが、

通常は会社の代表者が調印しています。


契約は重要なものです。


仮に担当者に権限がなかった場合を考えると、

対外的に代表権のある代表取締役

調印してもらうことによって確実なものとすべきです。



そのまま次回は2階16号室へ!!!


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