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手付けと内金はどう違うか(5/25)

手付けにはいろいろのものがある



売買契約をするときに、

その場で売買の目的物が引き渡され、

履行が終わる契約では手付けは問題になりません。

ところが、履行が将来に残されるようなときには、

契約が成立した証拠とか、

違反の場合のペナルティとかのために、

なんらかの措置を講じておきたいということがあります。




このような場合、買い主が売り主に売買代金の支払いとしてでなく

金銭を交付することがあります。これを「手付け」といっています。


手付けといっても渡された趣旨によって性質が違ってきます。

手付けには趣旨によって

「証約手付け」「解約手付け」「違約手付け」

「損害賠償の予定を兼ねる手付け」などがあります。




証約手付けというのは、

契約が成立した証拠として交付される手付けです。




解約手付けというのは、

一般に多く使われている手付けで、

「手付け倍返し」「手付け流れ」というように、

手付けを受け取ったものは手付金額の倍額を

支払えば契約を解除でき、

また手付けを支払ったものは

手付金を放棄して契約を解約できるというものです。

要するに契約を解約する権利を留保する意味の手付けです。





違約手付けというのは、

債務を履行しないときに違約罰として没収される手付けです。





損害賠償の予定を兼ねる手付けというのは、

手付けを交付した当事者が債務を履行しないとき

損害賠償の予定として手付けを没収され、

手付けを受け取った当事者が

債務を履行しない場合は手付金の倍額を

相手方に支払う、という内容をもつものです。




契約書で手付けと書く場合には、

どういう趣旨の手付けかを明確にしておく必要があります。

というのは、手付けの趣旨によって結果が異なってくるからです。





◆断りなしに手付けとだけ
 表示したときは



ただ手付けというと前述した手付けのうち、

どの趣旨をもつ手付けの意味かわかりません。

そこで民法は、契約でどういう趣旨のものか

特に定めないで手付けといったときは

「解約手付け」と解釈するという規定を設けています。

ですから、手付けが解約手付けでない場合は、

手付けの趣旨が他の意味の手付けであることを

明確にしておく必要があります。



◆内金とはどんな意味か

「内金」というのは成立した売買契約について、

売買代金の一部支払いという意味です。

契約のときに内金が支払われれば、

外形的には手付けとなんら変わりません。

趣旨、性質が違うだけです。

したがって、本来は手付けとは別の意味です。


◆手付けと内金の混同


内金も手付けも契約成立時に金銭を

交付するという意味で同じだということから、

内金が手付けと混同されることがあります。

内金が証約手付けの意味を兼ねたりもします。



手付けと混同されないためには、

「売買代金の一部」ということを明確にすることです。




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