売買契約をするときに、
その場で売買の目的物が引き渡され、
履行が終わる契約では手付けは問題になりません。
ところが、履行が将来に残されるようなときには、
契約が成立した証拠とか、
違反の場合のペナルティとかのために、
なんらかの措置を講じておきたいということがあります。
このような場合、買い主が売り主に売買代金の支払いとしてでなく
金銭を交付することがあります。これを「手付け」といっています。
手付けといっても渡された趣旨によって性質が違ってきます。
手付けには趣旨によって
「証約手付け」「解約手付け」「違約手付け」
「損害賠償の予定を兼ねる手付け」などがあります。
証約手付けというのは、
契約が成立した証拠として交付される手付けです。
解約手付けというのは、
一般に多く使われている手付けで、
「手付け倍返し」「手付け流れ」というように、
手付けを受け取ったものは手付金額の倍額を
支払えば契約を解除でき、
また手付けを支払ったものは
手付金を放棄して契約を解約できるというものです。
要するに契約を解約する権利を留保する意味の手付けです。
違約手付けというのは、
債務を履行しないときに違約罰として没収される手付けです。
損害賠償の予定を兼ねる手付けというのは、
手付けを交付した当事者が債務を履行しないとき
損害賠償の予定として手付けを没収され、
手付けを受け取った当事者が
債務を履行しない場合は手付金の倍額を
相手方に支払う、という内容をもつものです。
契約書で手付けと書く場合には、
どういう趣旨の手付けかを明確にしておく必要があります。
というのは、手付けの趣旨によって結果が異なってくるからです。
◆断りなしに手付けとだけ
表示したときは
ただ手付けというと前述した手付けのうち、
どの趣旨をもつ手付けの意味かわかりません。
そこで民法は、契約でどういう趣旨のものか
特に定めないで手付けといったときは
「解約手付け」と解釈するという規定を設けています。
ですから、手付けが解約手付けでない場合は、
手付けの趣旨が他の意味の手付けであることを
明確にしておく必要があります。
◆手付けと内金の混同
「内金」というのは成立した売買契約について、
売買代金の一部支払いという意味です。
契約のときに内金が支払われれば、
外形的には手付けとなんら変わりません。
趣旨、性質が違うだけです。
したがって、本来は手付けとは別の意味です。
内金も手付けも契約成立時に金銭を
交付するという意味で同じだということから、
内金が手付けと混同されることがあります。
内金が証約手付けの意味を兼ねたりもします。
手付けと混同されないためには、
「売買代金の一部」ということを明確にすることです。
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