ようこそ法律の館2階19号室(代理人による契約の部屋)へ

代理人による契約の注意事項(5/27)

取引は代理人でもできる


契約を結ぶには、

かならずしも本人がしなければならないとは

決まっていません。

本人から権限を与えられた人が、

本人に代わって契約を結ぶこともできます。

たとえば、ある物を買おうとする場合、

代理人を立てて売買契約をしたときには、

たとえ本人が直接契約しなくても

本人は買い主の権利(買った物を引き渡せという権利)を取得し、

義務(売買代金支払い義務)を負うことになります。

他人に代理権を与えて契約を結ぶ場合にも、

代理人がした行為は本人が行なったと同じように評価され、

本人が権利を取得し義務を負うことになるので、

代理人の選択は慎重に行ないたいものです。




◆代理人の選び方



前述したように、

代理人が行なった行為の結果は本人に及びますから、

代理人となる人は依頼されたことを

忠実に行なってくれる信頼できる人を選ぶことが必要です。

というのは、たとえ代理人の行為が本人の委任した趣旨に反しても、

その効果が本人に及ぶからです。

たとえば、ある物を購入する権限を与えたとき、

購入代金は100万円以下で買うように依頼したにもかかわらず、

代理人が150万円で買うという売買契約を結んだ場合、

本人は150万円で買ったということになってしまいます。

ですから、代理人が本人の意向を理解し、

忠実に行為がされると信頼できる人を選択する必要があります。

また、契約の内容によって専門的な知識判断を要するようであれば、

その専門に通じた人を選任することが必要となります。



◆本人でない相手方に代理権はあるのか
契約は代理人でも結ぶことができますから、

相手方が直接出ることなく代理人で契約することもあります。

この場合は、契約の相手方が本当に代理人と称する人に

代理権を与えたか確認する必要があります。

もし、代理人と称する人が代理権を与えられていなかったら、

相手方との契約は無効になってしまいます。



◆本人への確認と委任状など

代理権があるかどうかの確認の仕方は、

代理人に対して代理権があるのか、

また、与えられた代理権の範囲を確認することから始まります。

代理権があると言われたときは、

客観的な証拠として本人が代理権を

代理人に与えた委任状などで確認します。

もっとも、委任状は三文判でも作れるので

本人の印鑑証明書を添えてもらって、

実印で作成された委任状で確認することです。

このような委任状、印鑑証明書があっても、

確実を期するためには本人に代理権を

与えたか否か
を確認することが望ましいです。

 

◆代理人の調印の仕方

代理人による契約の調印は、

「○○代理人甲野太郎」というように、

本人の名前を明らかにしたうえで

代理人であることを表示して代理人の名を記し、

代理人の印で押印します。




そのまま次回は2階20号室へ!!!


戻る