契約は「申し込み」と「承諾」によって成立します。
「本を売りましょう」というのに対して
「本を買いましょう」という相対する合意によって成立するわけで、
かならずしも書類を作成し調印する必要はありません。
口頭の合意だけでも契約は成立します。
一般的には、調印していないから契約は成立しない
という人がいますがこれは間違いで、
口頭でも申し込みと承諾があれば契約が成立します。
もっとも、これが争いになった場合には、
「約束した」「約束しない」という水掛け論になってしまうから、
証明が困難になります。
契約書は争いを未然に防ぐための証拠という意味があります。
また、契約が成立するためには申し込みと
承諾が同時でなければならないとは限りません。
一方が相手方に対して「本を買いたい」と申し込み、
後日相手方が「その申し込みを受諾する」というスタイルでも契約は成立します。
◆注文書と契約の関係
ところで、注文書は契約とどのような関係にあるのでしょうか。
前述した説明からおわかりと思いますが、
注文書は契約が成立するための要素のうちの
「申し込み」にあたります。
これに対して相手方が承諾すれば契約が成立します。
◆注文書に対する対応にはルールがある
◆物品受領証と契約の関係ところで、注文した相手からなんの応答もないので他に注文したところ、
初めの注文先から承諾があったというような場合には、
契約が二重になって困ってしまいます。
商取引は迅速になされなければ仕事が円滑にすすみません。
そこで、注文に対する対応についてのルールが必要になります。
そのルールは次のとおりです。
1.対話者間の申し込み
対話者間で申し込みを受けたとき、
直ちに承諾しなかったときは申し込みは効力がなくなる。
2.隔地者間の申し込み
離れている者が承諾期間の定めをしないで申し込みをしたとき、
相手方が相当の期間内に承諾しなかったときは申し込みは効力を失う。
3. いつも取引している相手方に注文を出した場合
相手方は申し込みを承諾するか拒絶するかを遅滞なく
通知しなければならず、
相手方がこの通知をしなかった場合は注文に対する承諾をしたものとする。
物品受領証と契約の成立は直接の関係にありません。
注文に対して品物を送付してきたときに物品受領証に押印したり、
また物品受領証を発行するが、
これは、品物を受け取ったという証明です。
ですから契約による品物を受領したという意味もあるが、
注文に対する場合は、
品物を送付してきたことが注文に対する承諾の意味をもちます。
この場合の物品受領証は、
契約の成立と商品の引き渡しという履行が完了したことを明確にすることになります。
そして・・・2階21号室へ・・・