◆領収証は争いになったときの証拠資料
売買代金などを支払ったときに
領収証を発行してもらうのがビジネスの常識です。
民法にも、弁済者は受領者に
受領証書の交付が請求できると定めています。
これは代金の支払いがあったかどうか、
後日争いになったときに領収証は証拠資料として活躍するからです。
というのは、裁判で「支払った」「支払われていない」という争いが水掛け論になり、
裁判所としてはどちらが本当かわからないというときには、
「支払いがなかった」と判定して裁判を行なうというのが立証のルールであるからです。
領収証が当事者間の取引のほかに意味をもつ場合もあります。
これは、その企業が経費として処理するときの裏付けとして
要求されるものです。
本当に「その商品代金として」「その金額を支払った」ということ、
架空でないという社内処理上の証拠という意味があります。
また、税務調査の場合、架空経費の計上をしていないということ、
税金逃れをしていないということを裏付け立証する資料になります。
◆領収証再発行は強制できない
前述したように、
領収証には重要な役割がありますが、
代金受領者がすでに領収証を発行しているので、
代金受領者は領収証発行の義務をはたしています。
したがって、再発行の義務はありません。
◆再発行に応じてもらえないときは
領収証の再発行を頼まれても、
頼まれた者にとってはいい気はしないはずです。
「二重に経費で落とすのではないか」
「他のところへ利用されるなど何かに悪用されるのではないか」という心配もあります。
悪用されたときに、
自分のところへ不利益がはね返ってくるという心配もあります。
そこで、再発行を頼むときは、いつ発行し、
どういう領収証の再発行であるという表示を入れてもらい、
発行日付は再発行の日にしてもらうようにすれば、
相手も応じてくれる場合が多いのです。
領収証は取引に関して紛争が起きたときに裁判での証拠となり、
税務調査の場合は架空経費の計上をしていないという証拠になるという意味で、
いずれも証拠としての役割をになっているということがいえます。
したがって、これらが証明されるための手段としては、
領収証のみに限られないということを頭におく必要があります。
たとえば、代金の支払いが銀行振り込みでなされたときは、
「その金額を」「いつ」「どの会社に支払った」ということが
銀行の振込依頼書で証明できるので、
領収証と同じ役割をはたします。
また、横線小切手(銀行渡り)で支払ったときは、
相手方が第三者に回さない限り、当座勘定照合表と、
銀行に小切手の振込人を確認してもらうことにより、
間接的に証明することができます。
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