◆手形といっているのは約束手形のこと
私たちが日常手形といっているのは、
約束手形のことである場合がほとんどです。
しかし、正確には手形には「為替手形」と「約束手形」の二つがあります。
手形法の規定はむしろ、為替手形の条文を主体にして、
約束手形については独自の規定以外は為替手形の規定を準用する、
という形になっています。
これは、かつては、距離的に隔たった取引先との決済に
為替手形が多く使われていたということに由来しますが、
交通機関の発達によってその必要性が薄くなったからです。
為替手形も約束手形も、将来の一定の日に一定の金額を支払うという前提で、
流通することを予定して振り出される有価証券です。
これに対して、小切手は流通を前提とするよりは、
支払いの決算手段として現金と同様な感覚で振り出される証券といってよいでしょう。
為替手形は振出人が支払人を特定して、
支払いを受ける者を指定して振り出すものです。
たとえば、自分がAさんに売掛金があるとき、
自分で集金しないで、売り掛けたAさんを支払人として、
売掛金を額面、売掛金の集金日を満期日として、
自分の支払先に対して「Aさんに払ってもらってください」と振り出す手形です。
支払人は、支払人と指定されたからといって引き受け義務は当然ないですから、
為替手形の場合は、支払人Aさんが支払いを引き受けてくれなければ不渡りとなり、
満期日がこなくてもその手形を自分に裏書譲渡した者にその責任を追及し、
順次振出人に遡求していくことになります。
支払人は支払いを引き受けたとき、
はじめて支払い義務を負います。
そして、引き受けた人は約束手形の振出人と同じ立場で支払い義務を負うことになります。
◆約束手形とはどういうものか
約束手形は満期日に一定の金額を支払う約束をした手形です。
性質は借用証に似ていますが、
違うのは約束手形は流通するということです。
為替手形は支払人に引き受けをしてもらうまでは不確定ですが、
約束手形の場合は、振出人は確定的な債務者で、
為替手形の引受人と同じ立場です。
為替手形も約束手形も満期日までの間、
流通が予定されていますが、その間の譲渡の方法は同じで、
裏書によって行なわれます。
また、不渡りになったときの遡及手続きも同じです。
◆小切手とはどういうものか
小切手は、振出人が銀行に対して
「自分の当座預金口座から、小切手の持参人に、
小切手に書かれた金額を支払ってください」という指示書です。
簡単にいうと、銀行は自分の財布であり、
財布から支払ってもらえる証券ということです。
手形のように流通を予定していませんが、
流通を否定するものではありません。
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