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受け取った約束手形が不渡りになったとき(5/29)

◆約束手形の不渡りにもいろいろある


約束手形の不渡りというのは、

約束手形が支払期日に決済されないということです。

通常は、決済されないときは「資金不足」「取引なし」の場合ですが、

不渡りはかならずしもこのような信用がない場合とは限りません。

たとえば「約束手形が偽造された」といって支払いを拒絶されたり、

「納入された商品に欠陥がある」といって拒絶されたりすることもあります。


◆不渡りにあったときは訴求権を行使する

約束手形が不渡りになると、

その約束手形は付箋をつけて返還されます。

付箋には不渡りとなった理由が記載されています。

たとえば、資金不足のときは付箋に

「この手形は本日呈示されましたが資金不足につき支払い致しかねます。

平成○年○月○日、株式会社○○銀行○○支店」というように記載され、

銀行の印が押されています。

また、契約不履行の理由によるときは、

「資金不足につき」という点が「契約不履行につき」という表示になります。

不渡りになったときは、公正証書によって支払拒絶証書を作成して、

これに次ぐ四取引日以内に所持人は手形の前所持人(裏書した人)に対して

不渡りになった旨を通知し遡求権を行使します。

もっとも、現実にはほとんどの約束手形の裏書欄は

「拒絶証書不要」と印刷されており、

この場合は呈示の日に次ぐ四取引日以内に、

手形の前所持人(裏書した人)に対して不渡りになったことを

通知し遡求権を行使します。

遡求できる金額は手形金額と満期以後の利息です。

遡求の通知を受けた日に次ぐ二取引日内に前の通知者全員の名称、

住所を通知して遡求権を行使します。


◆手形金請求訴訟で財産を差し押さえる


不渡りとなったときは手形金額の回収を図らなければなりません。

約束手形を不渡りにするくらいですから、

任意に支払ってもらえないと思います。

ところで、裁判をして判決をもらっても相手方に

差し押さえる財産がなければ回収は不可能です。

そこで請求する相手方の財産を捜し、仮差し押さえをしておくことが必要です。

この場合、不渡り理由が「契約不履行」というような場合には、

相手方は「異議申立提供金」を預託しているので、

相手方の財産を捜す必要はなく、

異議申し立てのために提供した預託金の返還請求権を

差し押さえることによって保全することができます。

約束手形が不渡りになったとき、約束手形金請求訴訟を起こして、

判決をとり、判決によって相手方の財産を差し押さえて

債権の回収を図ることになります。

手形金の請求訴訟については、通常の手続きでなく、

「手形訴訟」という迅速に処理される手続きがあるので

これを利用することになります。

なお、手形の振出人だけでなく

裏書人に対しても約束手形金請求訴訟ができます。





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