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小切手を受け取るとき注意すること(5/30)


小切手としての要件はそろっているか

小切手というのは一般に預金と同じといわれています。

しかし、小切手も銀行が振り出す預金手形の場合は別として、

現金と同じというわけにはいきません。

ですから小切手でも不渡りがあるので、

支払いが小切手だから信用があると思ってはいけません。

小切手は一定の要件が欠けていると

小切手としての効力がないことになっています。

小切手を受け取るときは、

要件が充たされていることを確認することが必要です。

一定の要件というのは次のとおりです。



(1) 小切手であることの表示
(2) 一定の金額を支払ってほしいという単純な委託
(3) 支払人
(4) 支払地
(5) 振出日、振出地
(6) 振出人の署名



小切手にこれらの要件のうちの支払地の記載がないときは、

支払人の名に付記された地を支払地として扱い、

この付記がないときは、

振出地を支払地として扱って有効な小切手になります。

また、振出地の記載がないときも、

振出人の肩書地を支払地として扱って有効な小切手ということになっています。

署名については記名押印も署名と同じに扱うことになっています。

実務では、署名だけで扱うもの(パーソナルチェック)

記名押印だけで扱うもの(通常の小切手)がありますので注意して

ください。

◆不渡りになったときの白紙と補充

 

現在の小切手は、銀行が一定の様式にしたがって

印刷した小切手用紙を取引先に渡していますから、

振り出しにあたって記載するところは

「金額」と「振出日」と「署名」くらいです。

このうち署名、記名押印は本人でなければ不可能なので

いちばん大切なところです。

金額は、振出人が相手方に

金額が具体化したら入れてもらうという

前提で空白で渡すこともありますが、

金額が確定しているのなら、

後日の争いを避けるためにも金額を振出人に記入してもらうことです。

振出日については先日付(振出日よりも後の日付)

になっていないことを確認
しましょう。

というのは、先日付の小切手でも銀行は即座に決済に回すが、

その日までは小切手を決済に回さない約束だったという場合は、

その日まで待たないで決済に回したら、

約束違反として損害賠償のトラブル

発生することになるからです。

ところで、振出日は小切手の要件になっていますが、

実務では、振出日空白のまま振り出し、

銀行も空白のまま決済しています。

もっとも、不渡りとなって訴訟になったときは

未完成手形ということになってしまうので、

補充してから訴訟をしています。

◆記名式小切手と裏書について

 

小切手を受け取るとき、

相手方の振り出しの小切手でなく、

第三者が振り出した小切手で支払いを受けることもあります。

この場合、持参人払いであれば

そのまま受け取ればよいが、

記名式の場合に、「○○にお支払いください」

指示されたときは、

「○○」の裏書がないと決済に回すことができないので

注意する必要があります。

そのまま次回は3階10号室へ!!!

 


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