ようこそ法律の館3階11号室(続・約束手形の部屋)へ
代金を約束手形で
受け取ったときの注意
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◆手形の信用力は
振出人によって決まる


約束手形というのは、

振出人が将来の一定時期に一定の金額を

支払うと約束するものですから、

手形が決済されないようでは約束手形の価値はありません。

現在は資力があっても支払期日になって

資力がなく不渡りということもあります。

約束手形を受け取るときは、

振出人の現在の資力だけを考えて取引すると痛い目にあいます。

手形を受け取るときは、

振出人の経営状態を見てその手形の信用力を判断するより

ほかに仕方がありません。

手形の信用力は振出人の信用によって決まってきます。

◆振出人の信用が危ぶまれるとき

 

現在はなんとか経営を維持しているが、

どうも自転車操業で危ない、ひとつ狂いがあれば倒産だ、

というような場合は、手形でもらうのをやめて、

現金でもらうのが賢い方法です。

折衝は難しいかもしれませんが、

損のない範囲で多少値引きしてでも

現金で回収する
ことです。

また、支払額の半分を現金で支払ってもらい、

残りの半分を手形で支払ってもらうという、

いわゆる「半金半手」という決済で危険を減らす方法もあります。

そのほか、法人の手形であれば社長個人の保証をつけてもらう、

あるいは社長個人に資力のない場合は

資力のある者に保証をしてもらう、

ということも交渉する必要があります。

手形保証の仕方は、手形の表面(通常は振出人の記載の右)に

保証人の住所氏名を記載して押印してもらいます。



◆第三者振り出しの手形は
裏書をしてもらう

 

手形を直接振出人からもらわずに、

第三者が振り出した手形をもらうときもあります。

これには、受取人欄が空白で振り出され、

裏書もないというものもあります。

この場合は、本人に資力がなく

銀行が手形取引をしてくれないからだと考えるべきでしょう。

それでも、振出人に資力があり本当に

決済してくれれば問題ないのですが、

このような手形は、倒産者からあまった手形用紙を買って、

これを利用したもの、いわゆる「買い手形」の場合が多いのです。

どうしても手形しかないという場合には、

受取人欄に代金を支払ってもらう取引先名を記入してもらい、

取引先に裏書をしてもらったうえで受け取るべきです。

裏書がないと、その手形が不渡りになったときに

取引先に裏書人としての手形責任を問えなくなります。

 


◆回り手形の場合よく見極めよう


手形を直接振出人からもらわずに、

第三者が振り出し、裏書が連続した手形をもらうこともあります。

この場合、振出人とは面識がなく

手形の価値は判断がつきにくいものです。

これを「回り手形」といい、

回り手形が商取引の代金として流通してくる、

いわゆる「商手(商取引手形)」の場合には、

決済される可能性が強いのです。

ところが、「融手(融通手形)」といってお互いに

振り出しあっている手形があります。

この手形は資力がなく危険です。

この見極めは、手形と振出人が取引がありそうか、

というようなことから判断していきます。

そのまま次回は3階12号室へ!!!

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