S子(当時31歳)は住宅地を晴れた日の昼間に歩き回ちう、
標的を探しとった。軒下やベランダにオムツが
ほしてへんかキョロキョロするちゅうわけや。
めぼしがつくとすまし顔で、
「保健所の職員やけど、そやけどアンタ、
離乳食の検査に参ったんや」とか、
「受胎調節の指導にきましたのや」と挨拶するわけや。
確かに乳児がおるわけやから、
大抵の主婦は「わざわざご苦労様」と家に上げてまう。
S子は適当に乳児のことを話し、続けて「恐れ入りますが、
お宅の避妊具を拝見させていただけまへんか」
保健婦はんがそないなやったらと、
化粧台の引き出しや押入れのスミから、
恥ずかしそうにコンドームを出してくるわけや。
S子は点検する振りをして、
「こらいけまへん。合成ゴムでできとるから
中で腐って解けてまう不良品ですわ。
このまんまほな子宮ガンになるんやよ」と驚かせて、
「今日、持参してきたのもは天然ゴムの優良品。
市価の半額でお分けしまひょ」
とコンビニでも売っとるタイプのもんを
3〜5倍の値段で買わせてまう。
昭和56年の事件発覚後、
9人の主婦が1〜5グロスと大量買いを
しとったことがわかった わけや。
中には「ご主人が服上死しますわよ」といわれた主婦も。
アコギやのう。