ようこそ法律の館3階15号室（約束手形の書き換えの部屋）へ
約束手形の書き換えを求められたとき(5/31)
◆約束手形の書き換えは
一般的には手形のジャンプ
約束手形の書き換えというのは、文字のとおりに解釈すると、
手形の内容を書き換えるのですから、
金額、振出日、支払期日などが考えられます。
通常は約束手形の支払期日の書き換えのことをいっています。
いわゆる手形のジャンプです。
手形の書き換えは一般に手形のジャンプ以外にないというのは、
たとえば「手形金額」などを変えることになれば、
約束した金額の変更ですから、
所持人が応じるはずはなく考えられないからです。
◆約束手形の書き換えが
求められる背景
約束手形の書き換えを求められたとき、
どういう点について注意したらよいでしょうか。
書き換えがなされても手形の経済的な実質的価値に
変更がなければ問題ないが、
書き換えによってこれが変わってしまう場合もあります。
したがって、その手形の書き換えが求められた
背景を知ることによって、
価値の変更に対応した考え方をしていかなければなりません。
約束手形を書き換えてほしいということは、
満期日を延ばしてほしいということです。
満期日に手形を決済する資金がないということです。
この決済資金の不足というのは、
企業が計画していた入金の手違いから
一時的に満期日に予定した資金が不足するという場合と、
左前になっていって資金ぐりが困難になり満期日に
決算資金が不足するという場合があります。
◆一時的資金不足と絶対的資金不足
決済期日に手形の決済ができるよう資金計画をして
約束手形を振り出したが、
決算資金に予定していた入金がずれこんだため、
満期日に一時的に決済資金が不足することになり、
ジャンプを求めるという場合があります。
この場合は、手形の満期日を変更しても、
決済日が多少先に延びるというデメリットだけですみます。
したがって、約束手形の宛名人が所持人の場合は、
利息分を付加してジャンプしても危険は少ないのです。
これに対して、経営が左前になり資金ぐりが困難になったため
手形のジャンプを求めてきた場合は、
手形のジャンプに応じなかった手形所持人の手形が決済され、
ジャンプに応じた手形所持人の手形が決済されるまでに
振出人が倒産してしまうということもあります。
要するに、いつまで振出人の企業がもつか、
ということによって対応を考える必要があります。
このような場合には、手形所持人が全員ジャンプに応じてくれる
可能性はありません。
満期日が先になるほど不利になります。
そこで、ジャンプに応じるときは、
期間をあまり先にしないこと、
手形金額の一部を現金で支払ってくれたら
残りの金額はジャンプする、担保をとる、
などの折衝の要領が必要で、
倒産してもできるだけ被害が少ないようにする配慮が必要です。
◆裏書人がいるとき
約束手形は流通を予定しているので、
裏書人があるときもあります。
手形が不渡りになったときには裏書人に求償できるので、
たとえ振出人に資力がなくても裏書人から回収できることもあります。
したがって、振出人が手形書き換えを求めてきても、
書き換えをしてしまうと、
書き換え前の手形の裏書人に
求償できるという担保はなくなってしまいます。
この場合は、書き換え前の手形と同様の
裏書をしてもらうという前提でなければ価値は減少してしまいます。
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