ようこそ法律の館3階17号室(約束手形の不渡りの部屋)へ
約束手形の不渡りとはどういうことか(6/1)


約束手形の決済の仕方

約束手形は、

振出人が将来の一定のときに

一定の金額を支払うという約束をした証券です。

約束手形の支払いを受けるには、

約束手形の所持人が支払期日に支払場所に呈示して

支払ってもらうことになります。

ところが、いちいち支払期日に支払場所に行って

呈示するという面倒を避けるため、実務では、

銀行の規定した約束手形用紙を使い、

銀行にその役割を任せています。

その仕方は自分の取引のある銀行(持ち出し銀行)から

手形交換所に持ち込んでもらって、

振出人の取引銀行(支払銀行)に呈示して

決済をしてもらうという方法です。

この方法は、手形交換所に加盟している銀行の協会で

決済の仕方を定めて行なっていますが、

手形交換所に加盟していない金融機関は

手形交換所に加盟している銀行を通して手形交換をしています。

◆手形交換の仕組み

手形交換の仕組みは、

持ち出し銀行が手形交換所に約束手形を持ち出し、

支払銀行(振出人が支払場所とした銀行)に

その約束手形を持ち帰ってもらって、

支払銀行の振出人の口座から支払いがなされますが、

支払銀行の振出人の口座に預金がない場合は

「不渡り」となります。

不渡りは、通常は資金がなかったときですが、

資金はあるが偽造手形などの理由で

拒絶されたときも不渡りといいます。

「約束したお金が渡らない」という意味では同じことですが、

手形は信用の問題が中心なので、

取引停止処分の前提の不渡りにならないような

配慮がされています。

約束手形が不渡りになったときは、

その手形の持ち出し銀行と支払銀行

手形交換所に「不渡り届け」を出します。

手形の不渡りの事由は、

信用に関する「資金不足」や「取引なし」という理由の場合を

「第一号の不渡り届け」という名称で、

その他の場合を「第二号の不渡り届け」という名称で呼んでいます。

◆銀行取引停止処分

 

不渡り届けがあったときは、手形交換所は、

不渡り手形の振出人を不渡り報告に掲載して

手形交換所の参加銀行に通知します。

この場合、不渡り手形の振出人は、

不渡り手形の交換日から六ヵ月以内

二回目の不渡りを出すと銀行取引停止処分になり、

手形交換所は参加銀行に通知します。

取引停止処分の連絡があった場合、

参加銀行は取引停止処分の日から二年間は

停止処分を受けた者と当座勘定取引、

貸し出し取引をしてくれません。

ところで、偽造されたり、盗まれたりという理由で

不渡りにしたときまで、

取引停止処分になっては困ります。

そこで、不渡り届けに対し異議申し立てがなされたり、

不渡り報告の取り消しなどがあった場合は別扱いにしています。

もっとも、他の事由にかこつけて悪用されても困ります。

そこで、異議を申し立てるには、

理由を明確にして

異議申立提供金(手形金額と同額)


手形交換所に提供しなければならないことになっています。

そのまま次回は3階18号室へ!!!

 


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