約束手形は、
振出人が将来の一定のときに
一定の金額を支払うという約束をした証券です。
約束手形の支払いを受けるには、
約束手形の所持人が支払期日に支払場所に呈示して
支払ってもらうことになります。
ところが、いちいち支払期日に支払場所に行って
呈示するという面倒を避けるため、実務では、
銀行の規定した約束手形用紙を使い、
銀行にその役割を任せています。
その仕方は自分の取引のある銀行(持ち出し銀行)から
手形交換所に持ち込んでもらって、
振出人の取引銀行(支払銀行)に呈示して
決済をしてもらうという方法です。
この方法は、手形交換所に加盟している銀行の協会で
決済の仕方を定めて行なっていますが、
手形交換所に加盟していない金融機関は
手形交換所に加盟している銀行を通して手形交換をしています。
◆手形交換の仕組み
手形交換の仕組みは、
持ち出し銀行が手形交換所に約束手形を持ち出し、
支払銀行(振出人が支払場所とした銀行)に
その約束手形を持ち帰ってもらって、
支払銀行の振出人の口座から支払いがなされますが、
支払銀行の振出人の口座に預金がない場合は
「不渡り」となります。
不渡りは、通常は資金がなかったときですが、
資金はあるが偽造手形などの理由で
拒絶されたときも不渡りといいます。
「約束したお金が渡らない」という意味では同じことですが、
手形は信用の問題が中心なので、
取引停止処分の前提の不渡りにならないような
配慮がされています。
約束手形が不渡りになったときは、
その手形の持ち出し銀行と支払銀行が
手形交換所に「不渡り届け」を出します。
手形の不渡りの事由は、
信用に関する「資金不足」や「取引なし」という理由の場合を
「第一号の不渡り届け」という名称で、
その他の場合を「第二号の不渡り届け」という名称で呼んでいます。
◆銀行取引停止処分
不渡り届けがあったときは、手形交換所は、
不渡り手形の振出人を不渡り報告に掲載して
手形交換所の参加銀行に通知します。
この場合、不渡り手形の振出人は、
不渡り手形の交換日から六ヵ月以内に
二回目の不渡りを出すと銀行取引停止処分になり、
手形交換所は参加銀行に通知します。
取引停止処分の連絡があった場合、
参加銀行は取引停止処分の日から二年間は
停止処分を受けた者と当座勘定取引、
貸し出し取引をしてくれません。
ところで、偽造されたり、盗まれたりという理由で
不渡りにしたときまで、
取引停止処分になっては困ります。
そこで、不渡り届けに対し異議申し立てがなされたり、
不渡り報告の取り消しなどがあった場合は別扱いにしています。
もっとも、他の事由にかこつけて悪用されても困ります。
そこで、異議を申し立てるには、
理由を明確にして
異議申立提供金(手形金額と同額)を
手形交換所に提供しなければならないことになっています。
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