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融通手形を利用するとなぜ危ないか(6/1)


融通手形は資金調達が目的

約束手形は満期日までは決済する必要がありません。

融通手形はこの時間的な差を利用して

資金の調達をしようとするものです。

たとえば、甲会社が資金を調達するために

乙会社から約束手形を振り出してもらい、

これを銀行などの金融機関で割り引いてもらい、

この資金を利用します。

そして、満期日までにその決済資金を捻出して

振出人の銀行や金融機関の口座に振り込んで決済しようとするものです。

ですから、資金的な裏付けがなく振り出されるわけです。

このような約束手形を融通手形といっています。

もっとも、多くの場合は甲会社が乙会社に融通手形を振り出し、

乙会社も甲会社に融通手形を発行するというスタイルです。

◆融通手形は資金の裏付けがない

前述したように、融通手形は資金の裏付けがないので、

満期日までに融通手形を振り出してもらった

甲会社が資金を調達しなければなりません。

もともと資金繰りが苦しく、

金融機関からも借金が困難だから融通手形を振り出してもらい、

これを割って資金にするということになります。

ですから融通手形を振り出してもらうこと自体

信用がないということになります。

また、このような会社が満期日までに

経営努力で決済資金を調達できるかどうかも問題です。

とすると、融通手形は決済されるかどうか危ないものといえるでしょう。

◆融通手形の交換はお互いに資金繰りが苦しい証拠

 

融通手形はお互いに融通手形

振り出し合う場合が多いことに注意すべきでしょう。

融通手形を振り出し合うというのは危険な証拠です。

お互いに満期日までの資金の調達に利用しようということは、

どちらの会社も資金繰りが苦しい証拠といえるでしょう。

ということは、たとえ相手の会社から約束手形をもらったうえで

約束手形を振り出し、お互いに決済するということにしても、

甲会社が振り出した約束手形が決済されないとき、

乙会社は自分の振り出した約束手形の決済だけでなく、

甲会社が振り出した約束手形の買い戻し

銀行や金融機関から要求されます。

つまり、乙会社が破綻をきたさないで経営を続けるには、

振り出した約束手形の倍の資金を必要とすることになります。

融通手形の相手方の倒産によって、

倍の資金手当てができず倒産に追い込まれることも多いのです。

 

◆融資手形とは融資のための約束手形


融資のために約束手形を振り出す場合もあります。

この場合はお金を貸すのと同じですが、

返済が満期日までになされないと振出人は

自己資金で決済しなければならなくなります。

第三者がこの手形を譲り受け決済に回した場合、

融通手形だということを知っていたという抗弁がなされ、

支払いを拒絶されることもあります。

そして、次は3階19号室へ!!!

 


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