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裏書された小切手が不渡りになった場合(6/1)


小切手には記名式と持参人払式がある


小切手も約束手形と同じように支払いが拒絶されることがあり、

これを不渡りといいます。

小切手には「○○にお支払いください」という記名式のものと、

「持参人にお支払いください」という持参人払式とがあります。

記名式の小切手の場合、

譲渡するときは必ず裏書をしなければなりません。

というのは、記名された人が小切手を譲渡した

ということを明らかにして、

所持人が支払いを受けることができるようにするためです。

これに対して持参人式小切手の場合は、

小切手を譲渡するのに裏書をしても、

しなくてもよく、持参人はこの小切手を決済に回すことができます。

◆裏書をした人は責任を負う

小切手が不渡りになったとき、

小切手の裏書人は所持人に対し合同責任を負うことになっています。

合同責任というのは連帯責任のようなものです。

裏書をした人は、自分が小切手を裏書して

交付した相手に対してだけでなく、

小切手の最終の所持人に対しても支払いの責任を負わされます。

所持人が裏書人の責任を問うためには

裏書人に順次請求する方法でもよいのですが、

一度に振出人や、裏書をした人すべてに対して

請求することもできます。

この場合、請求できる金額は小切手金額のほか

年六分の利息


支払い拒絶の証明に要した費用、

遡求に要した通知の費用などです。

持参人払式小切手は裏書しなくても譲渡できますので、

小切手上の責任を負いたくない人は、

裏書しないで譲渡するということになります。

◆一定の要件を充たせば遡求権の行使ができる

 

小切手が不渡りになったときに

裏書人や振出人に請求することを「遡求」といっていますが、

所持人が遡求権の行使ができるのは、

一定の要件を充たさなければなりません。

まず、小切手は振出日から一〇日以内

呈示することになっていますから

呈示期間内に呈示されなければなりません。

もっとも、実務では呈示期間の一〇日を経過した小切手でも、

支払い委託の取り消しのない限り決済しているようです。

ところが、小切手が不渡りになって裏書人に遡求するには、

呈示期間内に呈示したにもかかわらず

支払いが拒絶されたという証明を必要とします。

この証明は呈示期間またはこれに次ぐ第一の取引日に、

公正証書によって拒絶証書にする方法もありますが、

多く利用されているのは支払人(銀行)の支払い拒絶宣言です。

この拒絶宣言は、「この小切手は本日呈示されましたが、

資金不足の理由によりお支払い致しかねます。

平成○年○月○日 株式会社○○銀行○○支店」

というような形で記載されます。

そのほか適法な時期に呈示されたが支払いがなかったことを記載し、

日付を記載した手形交換所の宣言などで

証明することもあります。



次回は3階20号室へ!!!

 


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