株式を担保にとる方法としては、
質権を設定する方法と、
譲渡担保による方法とがあります。
いずれも、債務が弁済されるまで株券を返還しないという
「留置的効力」や、
株券の売得金から優先弁済を受けることができる「優先弁済権」、
株主が受ける権利を行使する「物上代位権」などがあります。
(1)
質権を設定する方法
質権設定の手続きは、
株式に質権を設定するという約束をして、
その株券の引き渡しを受けることによって行ないます。
実務では「担保差入証」を差し入れてもらい、
株券の引き渡しを受けることによって行なわれています。
質権設定の場合、
原則としては流質契約が禁止されており、
担保権実行は競売の方法によって行なわれますが、
商取引によって生じた債権を担保するときは
流質契約が認められています。
したがって、商取引による債権の担保のときは
流質の特約を結んでおけば、
債務の支払いがない場合、
任意に売却処分して債務の弁済に
充当することができます。
(2) 譲渡担保による方法
譲渡担保の手続きは、
株式に譲渡担保を設定する約束をして、
その株券の引き渡しを受けることによって行なわれます。
譲渡担保というのは、
担保のために権利を移転するということです。
株式についての権利を移転してしまうわけです。
ですから、債務者が支払いをしないときは、
この株式を売却して、
自分の債権の弁済に充てて債権の回収を行なうことができます。