公正証書というのは、公証人が、
関係人から頼まれて作成した書類のことです。
一般的には、契約などを公正証書にしますが、
関係人が契約などの合意事項を公証人に陳述して、
公証人がその約束事の書類を作成します。
場合によっては、公証人が関係人の作成した契約書を
引用することもあります。
具体的には、公証人に対して、契約内容を明確にして、
公証人が作成した書類に、当事者が調印することになります。
公証人は契約内容を確認して書類を作成します。
また、調印にあたっては、
公証人が当事者をよく知っている場合以外は 、
当事者本人であるかどうかを確認するため
印鑑証明書の提出を求め、
これによって人違いでないことを確認します。
◆公正証書には
紛争の予防効果がある
公正証書のメリットは、
契約成立についての紛争が少なくなること、
裁判になったときに証拠価値が高いこと、
金銭債務についての場合は判決と同じ効力をもつことです。
私人間で通常なされる契約において、
「契約をした」あるいは「しなかった」などの争いが
生じる場合があります。
ところが、公正証書の場合は、
公証人が関係人から依頼されて、
客観的な立場で作成したということや、
内容の確認、当事者の確認などの手続きを踏んでいるため、
「約束した」「しない」という争いは少ないという点で
紛争の予防にも役立ちます。
◆証拠価値が強く
判決と同じ効力がある
公正証書は、公証人が作成したものです。
公の立場で作成されているので、
裁判で争いになっても、
成立については間違いないものとして扱われます。
そういう意味で証拠として信用され、その価値は高いものです。
債務弁済契約など、金銭債務についての公正証書の場合、
そのなかに「不履行の場合は強制執行を受けても異議がない」
というような条項(強制執行受諾約款)がつけられているときは、
公正証書は判決と同じ効力をもつことになります。
判決と同じ効力というのは、
債務者の財産に対して差し押さえなどの
強制執行ができるという意味です。
公正証書で強制執行する場合は、
判決の場合に執行文が必要なのと同じで、
公証人役場に対して公正証書に
執行文をつけてもらうことになります。
もっとも、強制執行の手続き自体は、
判決の場合と同じように裁判所に申し立てて行ないます。
一般的には、公正証書は判決と
同じ効力があるという意味について誤解があるようです。
どんな公正証書でも判決と同じ効力があるわけではありません。
よく、判決と同じ効力があるからといって、
家屋の明け渡しの約束を公正証書にしようという人がいますが、
判決と同じ効力があるのは金銭債務の不履行の場合だけです。
また、公正証書が金銭債務についての契約であっても、
強制執行受諾約款がついていなければ、
判決と同じ効力はないので注意する必要があります。
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