ようこそ法律の館4階05号室(売掛金の回収の部屋)へ
支払い命令により
売掛金を回収する方法
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◆支払い命令とはどういうことか


支払い命令というのは、

債権者の申し立てによって債務者に対し簡易裁判所が、

申し立てられた金銭や米、大豆などのように

種類的に定められる代替物

有価証券などの一定の数量を

引き渡せという命令のことをいいます。

債権者の一方的な申し立てにもかかわらず、

簡易裁判所は相手方に

意見を聞くことなく支払い命令を出します。

相手方が支払い命令の送達を受けた日から

二週間以内に異議の申し立てをしない場合は、

債権者は、支払い命令に仮執行宣言をつけてほしい

という申し立てをして簡易裁判所に

仮執行宣言をつけてもらいます。

仮執行宣言がつけられた支払い命令は、

判決と同じ効力があるので、

これによって相手方の財産や債権などを

差し押さえることができることになります。

支払い命令に関する一連の手続き

督促手続きといっています。

◆印紙は安く手続きも簡単

支払い命令は簡易裁判所に申し立てるだけで、

法定などによる口頭弁論手続きがないため、

素人でも簡単にできます。

また、申請書に貼る印紙(手数料)も

通常の訴訟の場合より安いので、

金貸しや月賦販売業者がよく利用しています。

 

◆支払い命令を利用できる権利

 

支払い命令の手続きは、

本当に権利があるかという審理がなく、

相手の意見もきかないで行なわれるので、

支払い命令が出せる請求権は限定されています。

建物の明渡し請求などはだめで、

一定の種類の物の一定の数量についての

請求権の場合だけです。

売掛金は当然支払い命令の手続きを利用することができます

 

◆相手方に送達できることが前提


支払い命令は一方的に出されるので、

相手方に送達して、

不服申し立ての機会が与えられることになっています。

通常の裁判ですと、相手方が所在不明の場合は、

裁判所の掲示板や官報

掲載するなどの手続きをして

送達があったことにする公示送達という方法がありますが、

支払い命令の場合には、

このような送達方法は認められません。

支払い命令の場合は送達できることが前提になっています。

 


◆支払い命令に異議が出された場合


相手方は受け取った支払い命令について

不服であるという異議の申し立てができます。

この異議には理由は必要ありません。

異議の申し立てがなされると、

請求債権の額によって地方裁判所または

簡易裁判所の通常の訴訟に移行することになります。

売掛金などの債権でも納品した数量が不足であるとか、

不完全であるとかの争いがある場合は、

異議の申し立てが出される可能性が強く、

せっかく、支払い命令の手続きをしても、

かえって遠まわりになるので、

初めから通常訴訟をしたほうがいいということになります。

 


◆仮執行宣言の申し立てには
期限がある


支払い命令が相手方に送達されてから

二週間以内に相手方が異議を申し立てない場合、

仮執行宣言をつけてもらう申し立てをすることになります。

この申し立ては、申し立てができるようになってから

三〇日内にしなければなりません。

うっかりしてこの期間を過ぎてしまうと、

支払い命令は効力を失ってしまうので注意する必要があります。

 


そのまま次回は4階06号室へ!!!

 


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