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集金者に渡した現金が帰社途中で奪われた場合、支払いは?
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◆集金者は一定の権限をもっている

株式会社の場合、

代表取締役社長対外的な権限をもっています。

しかし、社長一人では企業の活動はできません。

企業はひとつの組織体ですから、

多くの人がそれぞれの役割をもって働いています。

営業をする人もあれば、

集金を専門にする人もいるわけです。

集金を専門にする人もいるわけです。

このように一定の役割を与えられた人は、

その役割の範囲の権限をもっています。


◆集金者へ支払えば
支払い完了になる

債務を支払う場合、どこで支払うかという履行の場合は、

支払い場所の約束をしていないときは

債権者の約束をしていないときは債権者の営業所

ということになっています。

ですから、集金者が集金するということは、

支払者のかわりにサービスとしてお金を受け取り、

履行場所の企業に持ち帰るというようにも見えます。

支払者のかわりということになると、

帰社途中のお金の紛失は支払者の責任になってきます。

しかし、企業が集金者を使うということは、

企業が債務者の住所で支払ってもらうということを

暗黙に示しているのですから、

集金者がいる場合は債務の履行場所は

支払う者の住所ということになります。

ですから、企業の集金権限のある者に支払えば、

お金を企業に持ち帰らなくても支払いは完了したことになります。

集金者というのは、

その企業のなかで集金の役割を与えられた人です。

その企業がもっている代金債権の請求権限

受領権限をもっています。

代金をその企業の集金者に支払ったときには、

当然、その企業へ支払ったことになります。

集金者にお金を渡した以上、集金者が、

帰社途中でそのお金を落としたり、

第三者に奪われたりして企業に入金されなくても、

支払ったほうの責任ではありません。

企業はそれだけ多くの人を使い、

多くのことができるのですから、

その危険は当然企業側の責任ということになります。

 

◆再度請求されないために領収証を忘れずに

 

たとえば、集金者が集金したお金を企業に入金しなかったとき、

企業としては集金されたことがわかりません


その企業の経理上は売掛金の未収として残っています。

集金者は集金したことを知っているので

再度請求することはありませんが、

企業としてはいつまでも未収金という扱いをすることになります。

ですから、債権管理担当者から再度請求を受けたり、

裁判上で請求されることもあります。

このようなことを避けるためには、

支払ったということを証明できるように

領収証は必ずもらっておく必要があります。

 

次回は4階08号室へ!!!

 


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