ようこそ法律の館4階08号室(粗悪品の売買契約の部屋)へ
粗悪品を理由に相手から代金が支払われないとき
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◆どういうものが粗悪品か

売買契約においては、

売り主は買い主から注文された品物を納入する義務があります。

粗悪品というのは、この注文された品質、

性能に不十分なものということになります。

ところで、この注文された品物の品質や性能というのは、

いつ、どのようにして決まるのでしょうか。

通常は、売買の約束のときに、品質、性能は決められています。

売買の前提として「仕様書」「性能保証」が示されることは、

売買しようとする品質、性能を決めるためです。

このような特別の約束をしないで注文された場合は、

一般常識からみて普通の品質、

性能の品物を注文した
ことになります。


◆一般の売買契約のとき

売買契約を履行するときは、

売り主は買い主に対して、

約束された品物を納入する義務があります。

ただ品物を納入したというだけでなく、

約束された品質、性能のある品物でなければ、

売り主としては義務を履行していないことになります。

ですから、買い主には代金を支払う義務

発生していないことになります。

かえって、買い主からは

「完全な品物を引き渡してもらいたい」

ということを言われます。

この場合は、粗悪品を引き渡し、

完全な品物を納入して代金を支払ってもらうことになります。


 

◆商人間の売買契約のとき

 

商人間の取引では、

商品を引き渡してかなり時間が経ってから

「あれは粗悪品だったから代金は支払えない」と言われても、

商品を納入した者が困ってしまう場合があります。

期間の経過によっては粗悪品だったかの

調査もできなくなる場合もあります。

また納入商品を他の商人から仕入れて納品したという場合、

仕入先には代金は支払済ということもあります。

また、その先は他の商人から仕入れている商品かもしれません。

そうなってくると、ひとつの苦情が連鎖反応をおこし、

商取引は円滑にいかなくなってしまいます。

そこで、商人間の売買取引の場合には、

買い主は商品を受け取ったときは

遅滞なく商品を検査しなければならないというルールになっています。

そして、商品にキズがあったり数量が不足しているときは、

すぐに売り主に通知しなければなりません。

買い主がこの検査や通知をしなかったときは、

たとえ納入された商品にキズがあっても、

買い主は文句を言えないことになっています。

ですから、代金支払いを拒絶することはできません。

このように、商人間の場合は、

検査通知を怠ったときは粗悪品を理由に売買契約を解除したり、

代金をその分減額せよ、という請求や、

損害を賠償しろという請求もできません


もっとも、買い主が検査してもすぐ発見できないような

商品のキズの場合で、

六ヵ月以内に粗悪品であることを発見したときには、

商品にキズがあったという通知をし、

売り主に責任を問うことができます。


 

次回は4階09号室へ!!!

 


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