ようこそ法律の館4階12号室(代理受領の部屋)へ
代理受領とはどんな方法か
(6/5)

◆代理受領とは、本人に代わって支払いを受けること

代理受領というのは、字のとおり、

本人に代わって代理で支払いを受け、

これを自分が代理した本人に対する債権の弁済

充てることをいいます。

たとえば、CがAさんに貸金があるとき、

債務者Aさんが第三者Bさんに対してもっている債権を、

Aさんに代わってBさんから支払いを受け、

これを自分Cに対するAさんの債務の弁済にあてるものです。

ですから、代理受領は債権譲渡と同じ役割をはたすことになります。

法律上では、代理というのは、

本人に代わって法律行為をすることをいいます。

債務の弁済を受けることは、

事実行為で代理とはいえません。

しかし、本人の代わりに受領するという

一般的な意味で代理という言葉が使われています。


◆どんなときに使われるか


債務者が第三者に対して債権をもっている場合、

その債権の譲渡を受け、

直接第三者から弁済を受けて債務者からの

債権回収をすることがあります。

これを債権譲渡といいます。

ところが、債権譲渡が法律上禁止されたり、

約束によって禁じられたりしているときには

債権譲渡によって債権回収を図ることができません。

たとえば、国民年金法は、

国民年金の受給権を譲渡したり、

担保に供したり、差し押さえることができないと定めています。

また、官公庁、地方公共団体から受領する債権には、

債権の譲渡を禁止していることが多いようです。

そこで、これらの債権の譲渡を受ける代わりに、

代理受領の方法をとるということになります。

 

◆代理受領には委任状が必要

債務者は債権者に弁済するのが原則です。

第三者が債権者に代わって支払いを受けるためには、

支払いをする者(債務者)に対して、

本人に代わって受領する権限を第三者に与えたことを

はっきりさせなければなりません。

通常は、受領を受ける権利者(債権者)が、

第三者に支払いを受ける権限を与えた、

という委任状を発行しています。

第三者は、これによって受領権限を証明して

支払いを受けています。



◆代理受領は債権譲渡に劣る

 

債権回収の方法としては、代理受領は債権譲渡に劣ります。

というのは、弁済を受けるのは、

あくまでも本人で、本人の代わりに受領するだけですから、

たとえ委任状があっても、

本人が受領すれば代理受領はできなくなってしまいます。

また、委任はいつでも解除できるので、

債権回収の手段としては弱いものです。

そこで、代理受領の場合には

このような欠点をカバーすることが必要です。

実際には、代理受領の権限を受けるとき、

代理となる者は「本人が直接支払いを受けないこと」

「他の者には代理受領権を与えないこと」

「承諾なくして代理受領という委任を解除しないこと」

委任状のなかか、念書などで約束させています。

次回は4階13号室へ!!!

 


戻る