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抵当権と根抵当権はどう違うか
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◆ 抵当権と根抵当権

抵当権、根抵当権は、

いずれも債務の弁済を確保する方法として

不動産を担保にする方法です。

不動産に関する権利ですから

これらの権利の設定登記が必要です。

債務の弁済がなかったときには、

これらの担保権が設定された不動産を競売し、

その売得金から弁済を受けることになります。

抵当権は確定債権を担保するために設定されますが、

根抵当権は、一定の種類の取引から発生する債権を

一定の金額を限度として担保するために設定するものです。

◆担保される債権の違い


(1) 抵当権


抵当権というのは「債務金額が確定した」

債権の保全のために設定されるものです。

ですから、債務の弁済があると、

その分だけ抵当権で確保される債権額は減っていきます。

債権が減った分について、別口でお金を貸しても、

この債権は抵当権で担保されないことになっています。

別口は別口で抵当権を設定しなければ

債権の確保はできません。

したがって、一回限りの取引細菌の担保に使われます。


(2) 根抵当権


根抵当権は「一定の種類の取引について発生した」

債権の保全のために設定されるものです。

たとえば、自動車部品売買取引とか、

手形小切手債権とか、

取引内容を種類で決めています。

自動車部品販売会社は、

自動車修理工場などに部品を

反復継続して売り掛けます。

この債権は弁済があれば減少し、

売り掛ければ増加するというように、

取引が続いている間は金額が確定しません。

これらの取引から発生した債権を担保するわけですから、

現実には取引をやめたという時点で

確定した債権を担保することになります。

このようなわけで、根抵当権の場合は

「いくらまでの債権」を担保するのかという

極度額を決めなければなりません。



◆債務がゼロのときの違い

 

(1) 抵当権


抵当権は弁済によって債務がゼロになったときは、

債務者は抵当権者に対して、

抵当権設定登記の抹消手続き

請求することができます。

減った債務は復活しないのですから当然です。


(2) 根抵当権


根抵当権の場合は、

取引中に債務がゼロになっても、

債務者が根抵当権者に対して、

根抵当権設定登記の抹消手続きを請求できません。

というのは、取引が継続している以上

ふたたび債権が発生する可能性があるからです。

したがって、根抵当権の場合に債務額がゼロ

になっても根抵当権取引が解除されない限り

抹消請求はできません

 

◆担保権の譲渡について

 

(1) 抵当権


抵当権は抵当権だけを切り離して

譲渡することはできません。

債権の担保ですから、

債権と一緒に譲渡することができるだけです。


(2) 根抵当権


根抵当権というのは極度額の限度で、

取引から発生した債権を担保するものです。

債権の中身は一定種類の取引ですから、

特定の債権ではないのです。

言い換えれば、

根抵当権は極度額という

一定の枠を価値として把握しているということができます。

ですから、その枠の譲渡もできることになります。

もっとも、譲渡すればいままで担保にされていた債権は

担保されなくなってしまいます。


次回は4階14号室へ!!!

 


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