抵当権というのは、債権が回収できないとき、
抵当権を設定した不動産を競売して、
その売得金から弁済を受けることができる権利です。
ですから、売得金から弁済が受けられるかどうかを
調査することが重要なことです。
目的不動産に十分な価値があっても、
先順位の担保権が大きくて、
競売になっても配当が受けられないのでは
抵当権を設定しても意味がなくなってしまいます。
そこで、自分が配当を受けられるかという点(担保余力)を
中心に調査することになります。
◆登記簿謄本か
登記事項証明書をとる
先順位担保権の内容は、
不動産登記簿謄本か不動産登記事項証明書に
記載されています。
まず、これによって担保権の内容を確認することが必要です。
登記簿謄本というのは登記原簿の写しですが、
登記所(法務局またはその出張所)によっては
登記事項証明書になります。
登記事項証明書はコンピューターによって
現在生きている登記事項を打ち出したものです。
登記簿謄本や登記事項証明書は、
その不動産を管轄している登記所に
手数料を払って申請すれば誰でももらえます。
また、郵送でも取り寄せはできます。
◆先順位担保権者の素性、
被担保債権を調べる
先順位担保権者が多い場合、
それだけ担保をつけなければならないということから、
相手企業の経営状況を判断することができます。
必要以上に借金をしているとすれば、
その企業は赤字のために借金を続けているということです。
ですから、抵当権をつけてまで取引をする
必要があるかを考えなければなりません。
また、担保権者の素性を調べることも大切です。
正常な企業であれば、銀行、
信用金庫など正常な金融機関と取引していますから、
担保権者は銀行、信用金庫などになります。
ところが、いわゆる「まち金融」などの金貸しが
担保権者であるというときは企業が正常でないことを意味します。
金利が高いので通常の企業利益では
支払うことが不可能です。
この場合も抵当権をつけてまで
取引する必要はないと思います。
◆先順位が抵当権のとき
まず、抵当債務の返済額を調べることです。
抵当権は、債務の金額が決まっており、
債務額は返済された分だけ減っています。
そして、減った分については、
別口の債務があっても抵当権には及びません。
ですから、返済があれば、
現実にその抵当権で把握している金額は
当初の抵当金額より少なく、
その分だけ担保余力があります
◆先順位が根抵当権のとき
根抵当権は取引から発生する債務の保証の枠です。
現在の取引債務は少なくても、
いつ極度額一杯になるかわかりません。
確実を期するのであれば
極度額全額が担保として把握されているとして
担保余力を判断することです。
しかし、担保はついているが取引をしていないとき、
それだけ担保価値があります。
この根抵当権が譲渡され生きてきたときは
その分担保価値が減ります。
また、取引による通常の債務が、
極度額に至っていない場合もあります。
そこで担保される範囲を通常の取引額を
基準にして考えることもできるが、
債務額が極度額一杯になることもあることを考えると、
この判断は経営者の賭けということになります。
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