ようこそ法律の館4階16号室(不動産の担保の部屋)へ
不動産に先順位の
担保がついている場合
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◆抵当権は担保価値の把握を

抵当権というのは、債権が回収できないとき、

抵当権を設定した不動産を競売して、

その売得金から弁済を受けることができる権利です。

ですから、売得金から弁済が受けられるかどうかを

調査することが重要なことです。

目的不動産に十分な価値があっても、

先順位の担保権が大きくて、

競売になっても配当が受けられないのでは

抵当権を設定しても意味がなくなってしまいます。

そこで、自分が配当を受けられるかという点(担保余力)

中心に調査することになります。

◆登記簿謄本か
登記事項証明書をとる

先順位担保権の内容は、

不動産登記簿謄本不動産登記事項証明書

記載されています。

まず、これによって担保権の内容を確認することが必要です。

登記簿謄本というのは登記原簿の写しですが、

登記所(法務局またはその出張所)によっては

登記事項証明書になります。

登記事項証明書はコンピューターによって

現在生きている登記事項を打ち出したものです。

登記簿謄本や登記事項証明書は、

その不動産を管轄している登記所に

手数料を払って申請すれば誰でももらえます。

また、郵送でも取り寄せはできます。



◆先順位担保権者の素性、
被担保債権を調べる

 

先順位担保権者が多い場合、

それだけ担保をつけなければならないということから、

相手企業の経営状況を判断することができます。

必要以上に借金をしているとすれば、

その企業は赤字のために借金を続けているということです。

ですから、抵当権をつけてまで取引をする

必要があるかを考えなければなりません。

また、担保権者の素性を調べることも大切です。

正常な企業であれば、銀行、

信用金庫など正常な金融機関と取引していますから、

担保権者は銀行、信用金庫などになります。

ところが、いわゆる「まち金融」などの金貸しが

担保権者であるというときは企業が正常でないことを意味します。

金利が高いので通常の企業利益では

支払うことが不可能です。

この場合も抵当権をつけてまで

取引する必要はないと思います。


 

◆先順位が抵当権のとき

まず、抵当債務の返済額を調べることです。

抵当権は、債務の金額が決まっており、

債務額は返済された分だけ減っています。

そして、減った分については、

別口の債務があっても抵当権には及びません。

ですから、返済があれば、

現実にその抵当権で把握している金額は

当初の抵当金額より少なく、

その分だけ担保余力があります

 

◆先順位が根抵当権のとき


根抵当権は取引から発生する債務の保証の枠です。

現在の取引債務は少なくても、

いつ極度額一杯になるかわかりません。

確実を期するのであれば

極度額全額が担保として把握されているとして

担保余力を判断することです。

しかし、担保はついているが取引をしていないとき、

それだけ担保価値があります。

この根抵当権が譲渡され生きてきたときは

その分担保価値が減ります。

また、取引による通常の債務が、

極度額に至っていない場合もあります。

そこで担保される範囲を通常の取引額

基準にして考えることもできるが、

債務額が極度額一杯になることもあることを考えると、

この判断は経営者の賭けということになります。

次回は4階17号室へ!!!

 


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