債権者が債権の回収を確実にする方法として
保証人をとることが行なわれます。
債務者が債務を支払わないとき、
債権者は保証人に支払ってくれと請求できるからです。
このように保証というのは、債務者が債務の弁済をしないとき、
債務の支払い責任を負うことをいいます。
しかし、保証の仕方にもいろいろあります。
タダの保証と連帯保証、それに根保証です。
タダの保証は債務者本人が支払わないときの担保です。
債務者が支払わないときに力を発揮します。
債権者が保証人に請求しても、
保証人は債務者に請求してからにしてくれという抗弁
(催告の抗弁)ができます。
それでも支払ってくれないと、
請求を受けたときは債務者に財産があるから
債務者の財産を差し押さえてもらいたいという抗弁
(検索の抗弁)ができます。
これに対し連帯保証は、
タダの保証よりは強い保証といっていいかもしれません。
というのは、連帯保証にはタダの保証のときのような
催告の抗弁権や検索の抗弁権がないからです。
債権者が債務者に請求しなくても
「直接保証人に支払ってくれ」と請求できるのです。
そういう意味では債務者と同じというわけです。
◆根保証とはどういうことか
根保証という言葉はあまり聞かない人が多いかもしれません。
六法全書にはそういう言葉はのっていません。
でも根抵当ということを知っている人には、
ピンとくるのではないでしょうか。
継続的取引の場合には、
取引が続いている間は売掛金が
増えたり減ったりする状態が続きます。
このように、一定の取引について増減する債務を
保証することを根保証といっています。
ですから根保証人は、
いくらの債務の保証をしているのかわからない
ということにもなります。
現実に根保証が少ないのは、現在は保証人の資力、
信用は絶大であっても、
将来もそのままの信用があるかどうかわからないという欠点
があるからです。
それなら客観的な価値のある不動産を
担保にとったほうがいいということにもなります。
◆根保証の内容は約束によって決まる
単に根保証といっても内容は根保証の約束を
見なければわかりません。
法律で根保証の内容や要件、効果を定めていないので、
根保証の内容は債権者と根保証人の約束で
決まることになるからです。
約束の仕方としては、
一定の取引期間の債務を保証するという保証の仕方や、
取引による債務を一定の額まで保証するという
限度額を定めた保証の仕方など、
責任の範囲を限定する保証の仕方(有限保証)と、
保証する取引期間も限度額も定めないという
保証の仕方(無限保証)とがあります。
◆根保証人が死亡したとき
保証人が死亡したとき、
通常の保証債務は相続されます。
ところで、無限保証のような根保証人が
死亡したときにも同じように考えると、
相続人にはむごいことになってしまいます。
無限保証の場合は責任の及ぶ範囲が広過ぎるからです。
もともと無限保証は、保証された者と
保証人の特別な信用関係を基礎として
成り立っているものですから、
特別な事情のない限りは根保証人の死亡によって終了して、
根保証人の地位は相続されないと考えていいでしょう。
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