ようこそ法律の館4階20号室(保証と根保証の部屋)へ
保証と根保証はどう違うか
(6/7)

◆保証の仕方にもいろいろある


債権者が債権の回収を確実にする方法として

保証人をとることが行なわれます。

債務者が債務を支払わないとき、

債権者は保証人に支払ってくれと請求できるからです。

このように保証というのは、債務者が債務の弁済をしないとき、

債務の支払い責任を負うことをいいます。

しかし、保証の仕方にもいろいろあります。

タダの保証連帯保証、それに根保証です。

タダの保証は債務者本人が支払わないときの担保です。

債務者が支払わないときに力を発揮します。

債権者が保証人に請求しても、

保証人は債務者に請求してからにしてくれという抗弁

(催告の抗弁)
ができます。

それでも支払ってくれないと、

請求を受けたときは債務者に財産があるから

債務者の財産を差し押さえてもらいたいという抗弁

(検索の抗弁)ができます。

これに対し連帯保証は、

タダの保証よりは強い保証といっていいかもしれません。

というのは、連帯保証にはタダの保証のときのような

催告の抗弁権や検索の抗弁権がないからです。

債権者が債務者に請求しなくても

「直接保証人に支払ってくれ」と請求できるのです。

そういう意味では債務者と同じというわけです。

 

◆根保証とはどういうことか


根保証という言葉はあまり聞かない人が多いかもしれません。

六法全書にはそういう言葉はのっていません。

でも根抵当ということを知っている人には、

ピンとくるのではないでしょうか。

継続的取引の場合には、

取引が続いている間は売掛金

増えたり減ったりする状態が続きます。

このように、一定の取引について増減する債務を

保証することを根保証といっています。

ですから根保証人は、

いくらの債務の保証をしているのかわからない

ということにもなります。

現実に根保証が少ないのは、現在は保証人の資力

信用は絶大であっても、

将来もそのままの信用があるかどうかわからないという欠点

があるからです。

それなら客観的な価値のある不動産

担保にとったほうがいいということにもなります。

◆根保証の内容は約束によって決まる


単に根保証といっても内容は根保証の約束を

見なければわかりません。

法律で根保証の内容や要件、効果を定めていないので、

根保証の内容は債権者と根保証人の約束

決まることになるからです。

約束の仕方としては、

一定の取引期間の債務を保証するという保証の仕方や、

取引による債務を一定の額まで保証するという

限度額を定めた保証の仕方など、

責任の範囲を限定する保証の仕方(有限保証)と、

保証する取引期間も限度額も定めないという

保証の仕方(無限保証)とがあります。

 

◆根保証人が死亡したとき

 

保証人が死亡したとき、

通常の保証債務は相続されます。

ところで、無限保証のような根保証人

死亡したときにも同じように考えると、

相続人にはむごいことになってしまいます。

無限保証の場合は責任の及ぶ範囲が広過ぎるからです。

もともと無限保証は、保証された者と

保証人の特別な信用関係を基礎として

成り立っているものですから、

特別な事情のない限りは根保証人の死亡によって終了して、

根保証人の地位は相続されないと考えていいでしょう。

次回は4階21号室へ!!!

 


戻る