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保証人が死亡したらどうなるか
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◆保証人が死亡したら
原則として承継する

人が死亡すると相続が発生します。

相続するものは被相続人(死亡した人)の財産に

属した一切の権利義務です。

これには不動遺産や債権のようなプラスの財産

債務などのマイナスの財産も含まれます。

相続人はこれらすべてを承継することになっています。

保証というのは、まだ支払い義務が発生していないし、

また、支払い義務が発生しないかもしれないというものですが、

このような地位も、

原則として承継することになっています。

しかし、取引の多くは継続的なもので、

保証人が死亡したときの問題は

この継続的な取引についての保証(根保証)

どうなるかということが中心になります。

◆確定した債務の保証人が死亡したら


取引でも一回限りというものもあります。

一回限りの取引によって発生した債務を

保証した保証人が死亡したときは、

相続人が保証債務を承継することになります。

相続は相続される者の地位を継承することになっています。

 

◆ビジネス取引の保証の場合

 

ビジネスにおける取引は反復継続することがほとんどです。

ですから、代金が支払われると債務が減り、

売り掛けが発生すると債務が増加するということになります。

このような取引から生ずる債務の保証というのもあります。

これを「根保証」といっています。

不動産担保の根抵当権と比較するとわかりやすいと思います。

この根保証には有限保証と無限保証の二つがあります。

 

(1) 有限保証


有限保証(有限の担保証)というのは、

一定の継続的取引から発生する債務について、

一定の額までは保証責任を負うという保証や、

いつまでの債務というように期限を限って

保証することをいいます。

保証限度額を定めたときは、

継続的取引をやめて精算するとき、

債務の金額が保証した金額より多くても、

責任は約束した金額までということになります。

また、期限を区切って保証した場合には、

そのときまでに発生した未払い債務について

保証責任が発生します。

有限保証の場合は、

保証人が死亡すれば相続人が

保証人の地位を承継することになります。


(2) 無限保証


無限保証(無限の根保証)というのは、

一定の継続的取引から発生する債務についての保証ですが、

保証する責任の限度額も決めないで、

また、いつまでの債務についてという

期限も決めていない保証の仕方です。

このような保証をするときの関係は、

人と人との個人的な信用関係を基礎としているといえます。

無限保証をした保証人が死亡したとき、

保証人の地位を相続人が相続するとなると、

相続人にとって予期しない責任を負わされることになります。

どれだけの責任を負わされるかわかりません。

そこで、無限保証の場合には、

特別な事情のない限り、

根保証人の死亡によって保証関係は終了し、
根保証人の地位は相続されないと考えられています。


次回は4階22号室へ!!!

 


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