保証というのは、貸金や売掛金などの回収ができないとき、
債権回収の保全手段として
保証人にその債務の保証をしてもらうことです。
ですから第一に、
保証人に弁済する資力がない場合は
保証の意味がなくなってしまうことに注意する必要があります。
第二は、保証人が有効な法律行為が
できるかどうかの点にも注意しなければなりません。
保証というのは法律行為です。
また、有効な法律行為ができることを行為能力といいますが、
行為能力がないと、法律行為をしても、
その行為は取り消すことができます。
たとえば、禁治産者が保証したときは、
保証を取り消すことができます。
保証人が未成年者の場合は、
未成年者が保証行為をするためには
親権者の同意が必要なので、
これがないときは保証を取り消すことができます。
また、準禁治産者が保証をするときは
保佐人の同意が必要になります。
この同意がないときは、
未成年者の場合と同じように保証を取り消すことができます。
保証人といっても「タダの保証人」の場合と
「連帯保証人」の場合では責任の追及の仕方が違います。
場合によっては債権回収の結果に
影響を及ぼすことになるので、
その違いを知っておく必要があります。
◆保証人には催告の抗弁権がある
普通の保証の場合は「保証人」と記載してサインをします。
この保証の場合は、債務者本人が支払わないとき、
保証人に請求すると、保証人は「催告の抗弁権」といって、
「まず本人に請求してからにしてくれ」ということができます。
そして、「本人に催告したが払わない」といって
保証人に請求すると「本人は財産をもっているから、
それを差し押さえてほしい。
それで足らないときは支払う」という
「検索の抗弁権」というのがあります。
ですから、保証人がいても保証人が
任意に支払ってくれればいいが、
「催告の抗弁」「検索の抗弁」を受けると
余分な手続きをしなければ回収にまで
至らないということになります。
また、保証人が多ければ多いほどいいとは限りません。
たとえば、三人の保証人を立ててもらったが、
いざ、保証人に請求すると、
「私の責任は三分の一だから、
その分だけ払いましょう」と言われてしまいます。
普通の保証の場合には「分別の利益」といって、
その保証人が責任を負担するのは
「債務の額を保証人の頭数で割った金額」
ということになっています。
この場合、他の二人の保証人に支払いの 資力がなければ、
結局回収できるのは三分の一になります。
保証人が保証責任を少なくしようとして、
無資力者の保証人を増やすという悪用もあります。
◆連帯保証人は
債務者と同じ責任を負う
連帯保証人というのは、
債務者本人と同じ責任を負うという保証の仕方です。
ですから、債務者からの支払いがないときは、
連帯保証人に直接請求することができます。
連帯保証人の場合は、
普通の保証と違って
「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」は
ありません。
◆ビジネス関係の保証は
連帯保証と断っておく
債務者が商取引によって生じたときの債務は、
「保証人」とだけなっていても、
連帯保証責任があります。
しかし、トラブルを避けるためには
「連帯保証」と断っておいたほうがよいでしょう。
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