ようこそ法律の館4階22号室(保証人の注意の部屋)へ
保証人をとる場合に注意しておくこと
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◆保証人の資力と能力

保証というのは、貸金や売掛金などの回収ができないとき、

債権回収の保全手段として

保証人にその債務の保証をしてもらうことです。

ですから第一に、

保証人に弁済する資力がない場合は

保証の意味がなくなってしまうことに注意する必要があります。

第二は、保証人が有効な法律行為が

できるかどうかの点にも注意しなければなりません。

保証というのは法律行為です。

また、有効な法律行為ができることを行為能力といいますが、

行為能力がないと、法律行為をしても、

その行為は取り消すことができます。

たとえば、禁治産者が保証したときは、

保証を取り消すことができます。

保証人が未成年者の場合は、

未成年者が保証行為をするためには

親権者の同意が必要なので、

これがないときは保証を取り消すことができます。

また、準禁治産者が保証をするときは

保佐人の同意が必要になります。

この同意がないときは、

未成年者の場合と同じように保証を取り消すことができます。

保証人といっても「タダの保証人」の場合と

「連帯保証人」の場合では責任の追及の仕方が違います。

場合によっては債権回収の結果

影響を及ぼすことになるので、

その違いを知っておく必要があります。

◆保証人には催告の抗弁権がある

普通の保証の場合は「保証人」と記載してサインをします。

この保証の場合は、債務者本人が支払わないとき、

保証人に請求すると、保証人は「催告の抗弁権」といって、

「まず本人に請求してからにしてくれ」ということができます。

そして、「本人に催告したが払わない」といって

保証人に請求すると「本人は財産をもっているから、

それを差し押さえてほしい。

それで足らないときは支払う」という

「検索の抗弁権」というのがあります。

ですから、保証人がいても保証人が

任意に支払ってくれればいいが、

「催告の抗弁」「検索の抗弁」を受けると

余分な手続きをしなければ回収にまで

至らないということになります。

また、保証人が多ければ多いほどいいとは限りません。

たとえば、三人の保証人を立ててもらったが、

いざ、保証人に請求すると、

「私の責任は三分の一だから、

その分だけ払いましょう」と言われてしまいます。

普通の保証の場合には「分別の利益」といって、

その保証人が責任を負担するのは

「債務の額を保証人の頭数で割った金額」

ということになっています。

この場合、他の二人の保証人に支払いの 資力がなければ、

結局回収できるのは三分の一になります。

保証人が保証責任を少なくしようとして、

無資力者の保証人を増やすという悪用もあります。

◆連帯保証人は
債務者と同じ責任を負う

 

連帯保証人というのは、

債務者本人と同じ責任を負うという保証の仕方です。

ですから、債務者からの支払いがないときは、

連帯保証人に直接請求することができます。

連帯保証人の場合は、

普通の保証と違って

「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」

ありません。

 

◆ビジネス関係の保証は
連帯保証と断っておく

債務者が商取引によって生じたときの債務は、

「保証人」とだけなっていても、

連帯保証責任があります。

しかし、トラブルを避けるためには

「連帯保証」と断っておいたほうがよいでしょう。


次回はついに5階01号室へ!!!

 


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