コンピューターのプログラム
というのはコンピューターを利用して、
ある結果を達成するためにコンピューターに
与える指示や命令等の組み合わせを
あらわしたものをいっています。
この指示、命令の組み合わせといっても
簡単で誰でも容易に考えられるプログラムもあります。
たとえば、一から一〇までの足し算のプログラムは
FORとNEXTやGOTOを使い、
ルーチンを利用することによって容易にプログラムができます。
しかし、プログラムが指示や命令の組み合わせであっても、
その組み合わせが複雑になり、
とても考えられないような高度なものも多くあります。
この点からいうと、コンピューターのプログラムは
自然法則を利用した技術思想の創作であり、
高度なものといえます。
とすれば、コンピュータープログラムは発明と評価され、
その権利は特許権の性質をもつという考えになります。
◆コンピューターのプログラムは
著作権か
ところが一方では、
コンピューターのプログラムは特許ではなく、
著作物だという考え方もあります。
プログラムは結果を達成するための指示、
命令を組み合わせた流れが
電子的に記述されたものであるということができます。
またこのプログラムは、
ベーシックや簡易言語で紙面に記述することもできます。
とすると、コンピュータープログラムは
学術的な論文のようなもので、
ひとつの目的を達成するための思想(指示、命令の組み合わせ)を
表現しているということもできます。
このように考えると、
コンピュータープログラムは学術的な著作物であり、
著作権のひとつであるという考え方も出てきます。
◆コンピュータープログラムは著作権として扱われる
このようにコンピュータープログラムは、
発明の性質と著作物の性質とを合わせもっていると
いってもいいでしょう。
そこで、コンピュータープログラムをどのように
位置づけるかは法制度の決め方の問題となります。
現在、コンピュータープログラムは
著作権法で保護され、著作物ということになっています。
しかし、法律上このような扱いに決まるまでは、
通産省は自分の分野であり、
特許の問題として扱うべきだと主張し、
文部省は著作物であるから著作権として扱うべき
だと主張して争ってきたという経験があります。
◆コンピュータープログラムを
著作権としたことによる問題
コンピュータープログラムが著作権で
保護されることになるとどうなるでしょうか。
プログラム全部が著作権ということになれば、
誰でも容易に考えられるプログラムの部分まで
著作権ということになってしまいます。
他の人がプログラムを作った場合、
そのなかに容易に考えられるプログラムの部分があっても
著作権侵害となってしまうという問題があります。
要するに、著作権として保護されるのはどこまでか、
という著作権の範囲の争いが出てくるものと思われます。
これに対して、特許権に属するという扱いであれば、
特許請求の範囲が明確に特定されるため、
このような問題は解消されます。
ですから、立法論として特許権にすべきだという
主張があるのももっともなことです。
|