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コンピューターのプログラムは著作権か
(6/10)

◆コンピューターのプログラムは発明か

コンピューターのプログラム

というのはコンピューターを利用して、

ある結果を達成するためにコンピューターに

与える指示や命令等の組み合わせ

あらわしたものをいっています。

この指示、命令の組み合わせといっても

簡単で誰でも容易に考えられるプログラムもあります。

たとえば、一から一〇までの足し算のプログラム

FORとNEXTやGOTOを使い、

ルーチンを利用することによって容易にプログラムができます。

しかし、プログラムが指示や命令の組み合わせであっても、

その組み合わせが複雑になり、

とても考えられないような高度なものも多くあります。

この点からいうと、コンピューターのプログラムは

自然法則を利用した技術思想の創作であり、

高度なものといえます。

とすれば、コンピュータープログラムは発明と評価され、

その権利は特許権の性質をもつという考えになります。

 

◆コンピューターのプログラムは
著作権か

 

ところが一方では、

コンピューターのプログラムは特許ではなく、

著作物だという考え方もあります。

プログラムは結果を達成するための指示、

命令を組み合わせた流れが

電子的に記述されたものであるということができます。

またこのプログラムは、

ベーシックや簡易言語で紙面に記述することもできます。

とすると、コンピュータープログラムは

学術的な論文のようなもので、

ひとつの目的を達成するための思想(指示、命令の組み合わせ)を

表現しているということもできます。

このように考えると、

コンピュータープログラムは学術的な著作物であり、

著作権のひとつであるという考え方も出てきます。

 

◆コンピュータープログラムは著作権として扱われる

このようにコンピュータープログラムは、

発明の性質著作物の性質とを合わせもっていると

いってもいいでしょう。

そこで、コンピュータープログラムをどのように

位置づけるかは法制度の決め方の問題となります。

現在、コンピュータープログラムは

著作権法で保護され、著作物ということになっています。

しかし、法律上このような扱いに決まるまでは、

通産省は自分の分野であり、

特許の問題として扱うべきだと主張し、

文部省は著作物であるから著作権として扱うべき

だと主張して争ってきたという経験があります。




◆コンピュータープログラムを
著作権としたことによる問題

 

コンピュータープログラムが著作権

保護されることになるとどうなるでしょうか。

プログラム全部が著作権ということになれば、

誰でも容易に考えられるプログラムの部分まで

著作権ということになってしまいます。

他の人がプログラムを作った場合、

そのなかに容易に考えられるプログラムの部分があっても

著作権侵害となってしまうという問題があります。

要するに、著作権として保護されるのはどこまでか、

という著作権の範囲の争いが出てくるものと思われます。

これに対して、特許権に属するという扱いであれば、

特許請求の範囲が明確に特定されるため、

このような問題は解消されます。

ですから、立法論として特許権にすべきだという

主張があるのももっともなことです。

そのまま5階03号室へ!!!

 


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