ようこそ法律の館5階11号室(商標出願中と特許出願中の部屋)へ
商標出願中、
特許出願中とはどういう意味か
(6/12)

◆商標などの出願中の表示

商品や宣伝パンフレットなどに

商標出願中とか特許出願中という表示が

なされていることがあります。

これらの表示は特許権や商標権の登録

出願しているということです。

しかし、そこにわざわざ表示することに

どのような意味があるのでしょうか。

◆特許出願中の意味は


特許は出願してから登録され

特許権となるまでにかなりの月日がかかります。

出願してから登録されるまでに、

他の者にマネされて特許による製品

販売されたりしたときには、

出願者の特許権が登録されたとしても、

その特許権の価値がほとんどなくなってしまいます。

特許を出願した者が「自分の権利だ」と言って

侵害を予防しようとすることが

特許出願中の表示のひとつの意味です。

しかし、侵害されてしまっては意味がありません。

そこで、特許法では、このような形成途上の

特許出願中の利益


保護するために手当てがなされています。

たとえば、出願公告があると、

出願者は特許出願にかかる発明を

他人を排して実施する権利をもつことになります。

ですから、差し止め請求ということもできることになります。

また、出願公開があったときは、

自分の発明にかかるものだという警告を発して、

それにもかかわらず出願にかかる発明を実施した者に、

補償金を請求することができます。

特許にはこのように、権利になる前の地位を権利

準じて保護する制度、仮保護の権利があるので、

特許出願中の表示は、

これら権利を行使することがあることを予告する意味もあります。



◆商標出願中の表示は

商品に商標出願中という表示がされているのを

見ることがあります。

これは字のとおり、商標出願している商品

名前だという意味です。

商標は特許のような仮保護の権利

認められていないので、

登録されないと商標権としての権利を行使できません。

他社が類似の商標を使っていても、

これを積極的に差し止めるという権利までは

発生しません。

というのは、出願した商標は、

商標権になるかどうか確定していないからです。

そういう意味では、

自分のところが商標登録の出願をしているから

他社が出願してもダメだよ、

という紛争を予防する役割をもっています。

ところで、商標は商品につけられるしるしです。

このしるしがあれば「A社の商品だ」と消費者に

わからなければ意味がありません。

商標は一般に知られる程度に

普及することによって価値が発生するものですから、

宣伝をして、商標を覚えてもらうことは必要です。

商標出願中というのは、

商標を普及させるという意味ももっています。

 

次回は5階12号室へ!!!

 


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