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他人の意匠の一部を商標登録できるか
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◆他人の意匠も商標登録できる


商標は商品の「名前」「しるし」です。

これに対して意匠というのは商品そのもののデザインです。

商標は商品の名前、意匠は商品のデザインですから、

商標として登録を認めるか、

また、意匠として登録を認めるかは、

それぞれ別の立場から判断されます。

そこで商標として登録要件を備えていれば、

たとえ他人の意匠の一部であっても

原則としては登録が認められることになります。

しかし、商標を登録して権利化することが

商標以外の他の権利者とトラブルを起こしたり、

他の権利を侵害することは望ましくないので、

このように他人の権利と競合するときは、

お互いの権利を調整することが必要となってきます。

◆他人の著作物が意匠になっているとき

たとえば、「他人の絵」が意匠に使われているときには、

「絵」は描いた人の美術的な著作物です。

この場合、意匠の問題の前に著作権の問題

クリアーしなければなりません。

商標は商品の名前や役割をはたすしるしですから、

別に独創性を要求されるものではなく、

商標は商標という立場で判断されます。

ですから、他人のものをマネしても商標としての

登録要件さえ備えていれば登録されます。

同様に、他人の意匠または意匠の一部であっても

使用目的が違いますから登録されるということになります。

しかし、他人の描いた絵をそのまま利用するときは、

美術的著作物の複製にあたり著作権侵害になります。


◆意匠権者の商品と混同されるとき

ところで、他人の登録意匠が継続的に使われ、

社会によく知られているときには、

その意匠は商標が目的とする商品の出所をあらわす

役割ももってきます。

意匠が使われている商品と関係がある分野の

商品の商標として登録すると、

商標によって代表される商品が意匠権者の商品

混同されるおそれがあります。

このようなときは混同するおそれがあるとして

登録を拒絶されることもあります。

ですから「混同のおそれ」ということからいうと、

取引の実情にも影響してくることになります。

しかし、一般には商品そのものと商品につけられた

商品の出所をあらわす「ラベル」とは違うと考えられています。

 

◆他人の権利との調整

商標は意匠権や著作権とは別個の立場で

登録要件が判断されますから、前述したように、

他人の意匠や著作物でも登録されるということになります。

しかし、このような場合、商標登録したからといっても、

これを使うことが意匠権者の権利

著作者の権利を侵害することになってはいけません。

そこで、商標登録する前に発生した著作権や、

出願された意匠権を侵害するときは、

たとえ商標が登録されても、

著作権者や意匠権者の承諾がないと

使用できないことになっています。

次回は5階14号室へ!!!

 


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