商標というのは、商品につける「名前」
または「しるし」のことです。
このしるしがついていればA社の商品である
という主張になります。
商標は、特別に創作力を必要としたり、
美的なデザインをもつことを要求するもの
ではありません。
ただ他社の商品と違うという区別、
A社の商品だという出所の主張が特色です。
そういう意味からいうと、あまり他人の商標をマネして登録し、
これを使用することが得策であるかどうかは
考えなおす必要があります。
商標はいわばA社の商品だという自己主張です。
A社はこれだけの信用力をもっている、
A社はいままでいい品質の商品を売ってきた、
「それがこの商品なのだ」というわけです。
◆類似商品とは混同されるかどうかにある
他人の商標と同じでも、他人が商標に使おうとしている商品と
似ていなければ商標として登録することができます。
というのは、商標はその商品の出所を明確にし、
他の商品と区別するという役割をもっているので、
他の商品の出所と区別され、
混同することがないのであれば弊害はないからです。
たとえば、A社が万年筆に使っている商標と同じ商標を、
B社が日本酒に使うという場合には
混同のおそれはありません。
ところがB社が同じ商標をインキに使う場合には、
一般にA社の商品と混同するおそれがあります。
このように、混同されるかどうかということが
類似の範囲を決めることになります。
混同されるおそれについては
特許庁で審査の基準として使う類似商品審査基準
というのがありますが、これは絶対的なものでなく、
あくまでも扱い例としてのものです。
類似かどうかは、商品自体の用途が似ている
ということだけでなく、
取引慣行、取引のルート、
取引分野などの要素が加わってきますから、
商品が類似かどうかは社会や時代の変化に影響されます。
したがって、そのつど具体的に検討する必要があります。
◆未登録の他人の商標
ところで、商標の登録がされていない場合でも、
商標登録ができない場合もあります。
「周知商標」といって、
「この商標はあの会社のあの商品に使われている」と、
一般需要者の間に広く知れ渡っているような商標で、
商標登録がされていないものです。
このような商標があるときは、その商標に類似した商標、
その商品や類似した商品については
登録ができないことになっています。
◆類似を超えた力をもつ商標
たとえば、A社の商標としては特定の商品について
商標登録をしているだけでも、
その商標が著名になり、その商標であれば、
登録商品、類似商品を問わず「A社の商品だ」とか
「A社の関連会社の商品だ」というくらいになった場合、
A社の商標はたとえ非類似の商品であっても
登録できません。
というのは、これを登録すると他社の商品が
A社の商品と間違われ、
商品の出所が混同されてしまうからです。
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