ようこそ法律の館5階15号室(知的所有権の部屋)へ
知的所有権とはどういうことか
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◆知的所有権とは財産上の価値があるもの

知的所有権というのは、

人の知的生産物についての権利をまとめて

表現したものです。

知的生産物というと表現がわかりにくいかもしれませんが、

人間がその知識に基づいて独創的に作り出した

財産上の価値があるもの一般、ということになります。

たとえば、特許権や実用新案権などは、

知識に基づいて作られた独創的なもので

財産上の価値があるものといえます。

また、企業秘密としてのノウハウも、

○○権という名はついていないし、

保護される法律もないですが、

やはり知的活動によって作られた独創的で価値のあるものといえます。

要するに知的所有権というものは、

具体的権利そのものをあらわすものではありません。

ですから、知的所有権のなかには、

従来から具体的権利として法律で保護されているものと、

現在その保護が要請されている財産上の価値

などの過渡的なものもあり、

社会の進展に応じてその内容は広がる傾向にあります。

わが国では無体財産権という表現で把握されていた

権利が中心となりますが、

いままで法律上は保護されなかった知的生産物についても、

外国の要請によって保護される範囲が広がりつつあります。


◆法律で規定のあるもの

知的所有権について法律に規定のあるもののうち、

典型的なものは次のようなものです。

(1) 商標法にある権利


商標権といっています。

商標は商品の名前です。

商品のイメージや出所をあらわすものとして

財産的な価値が認められています。

また、サービスもサービスの品質や

○○会社のサービスという他のサービスと

区別する役割をはたすようになってきました。

そこでサービスマークも財産的な

価値のあるものとして保護されるべきだということになり、

平成四年四月一日から

商標と同様に保護されることになりました。

(2) 特許法にある権利


特許権といっています。

作り出す方法の発明や、

発明によって作り出したものを権利として保護しています。

発明というのは、自然法則を利用した、

技術思想の創作のうち高度なものということになっています。

当然、創作として保護されなければならないという

意味から新規性が必要となります。

(3) 実用新案法にある権利


実用新案権といっています。

発明家や主婦が考え出した便利な道具といえば

ピンとくるかもしれません。

発明が高度とまではいかないが、

やはり創造的なものとして保護される価値

があるものといってよいでしょう。

実用新案法は「発明」とはいわず、

「考案」という表現をとっています。

(4) 意匠法にある権利


意匠権といっています。

物の形、模様、色彩など、

またその結合によって美観を起こさせるものも、

商品から受けるイメージが需要を呼び起こす

という点で財産的な価値があるものとして保護されます。

簡単に言えばデザインということになります。

(5) 著作権法にある権利


プログラムが保護されることになったことにより、

著作権も知的所有権の仲間入りをしたといってよいでしょう。

◆法律に規定されていないもの


法律に権利と規定されていないものでも、

無形の知的創作物というものがあります。

技術や情報に関するノウハウなどがこれです。

 

次回は5階16号室へ!!!

 


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