●仙人探偵が追う!! 詐欺事件簿
(なりきり詐欺のダマしのテクニック)

ニセ占い師に新興宗教教祖
オカルトや宗教を無条件で信じてしまう人がいる。確かに、信じているからこそ救われることもある。だが、何かにすがろうとする人の心につけ込むことこそ、詐欺師の十八番。だいたい、本物の新興宗教でさえ、詐欺と区別することが難しいのだから……。

■その?(12/16)  ■その?(12/24)  ■その?(12/26)

■?姓名判断で2千万円を詐取したニセ占い師(12/16)

占い師嫌いで有名なタレントの上岡龍太郎がいっていたが、占い師を気取って水商売の女性を騙すのは簡単らしい。「あなたは他人といるときは賑やかだが、ひとりになるととたんに無口になるね」と言うのと「いま辛い恋をしているね」という二つを言えば、ほぼ間違いなく信用されるそうだ。 微妙な人の心理を利用して、曖昧な言い方をすれば、占い好きの女性は騙せるということだろう。

まあ、占いを信じるも信じないもその人それぞれだが、占いを信じて大金を取られたとなれば話は違ってくる。
昭和○○年、詐欺容疑で送検された自称・運命鑑定家(当時36歳)もそんなインチキ占い師。

彼は埼玉の32歳の主婦Å子さん宅を訪れ、「全日本易占学会会員」の名刺を見せて「あなたの名前はよくないので、このままでは非常に厳しい状態になる」とデタラメの占いをしたのだ。
改名でもさせるのかと思いきや、「貯金を全部下ろして私に預けなさい。ゼロになって初めて先が見えるのです」
などと、巧みに話を持ちかけ、Å子さんから6回にわたり、総額2200万円を騙し取った。

この手の話に共通しているのが、この「私にお金を」というくだり。金があるとよくないのなら、慈善団体に寄付でもして、他人のために役に立てればいいのに、なぜか占い師のフトコロに。 だからこそ詐欺なのだが、「私だけは不幸になりたくない」という人には、そこのところが見えないようで……。


■?3千万円を詐欺  インチキ新興宗教教祖(12/24)

たとえば、正月に初詣に行っておみくじを引き、そこに書いてある内容に一喜一憂しても、「詐欺だ。騙された。金返せ」と騒ぐ人はまずいない。

また、酉の市やえびす祭で、商売繁盛を願う熊手を買ったが、倒産してしまった経営者が熊手を売った露天商を訴えるなんて話も聞かない。 神様のお告げや、ご利益を与える縁起物というのは、せいぜい気休め程度のもの。そこを勘違いすると、大金を騙し取られることになる。

新興宗教と名乗る詐欺の話だ。 昭和○○年、新興宗教の教祖(当時36歳)と手形ブローカー一味が逮捕された。被害総額は当時の金で3000万円。今ならその10倍以上の価値となる金額だ。

調べによると、この男は新興宗教の教祖を名乗り、経営のことで占いにやってきた旅館経営者に「土地を買えばうまくいく」と信者から騙し取った土地の権利書を見せて金を取ったり、負債の相談に訪れた不動産会社の社長に「神様の言うことを聞けば、負債はなくなる」と、この社長が所有していた都内の一等地にある土地家屋を売らせて「神の教示で保管する」と、そのお金を騙し取った。

また、知り合いの手形ブローカーに紹介されてきた工場主から、「借金を助けてやるから持っているすべてを神に預けなさい」と財産のほとんどを騙し取っていた。

この男の悪質なところは、手形ブローカーと組み、宗教をうまく連動させたことだろう。 冷静に聞けば、あまりにも生臭い神様のお告げに、あっさりとだまされてしまうのは、それだけ騙された人の悩みが深かったのか。

そもそも、神様にお金を預けて、自分の苦労を減らそうなんていうのは、神様に「ワイロ」を送るようなもの。救われるわけがない。

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■?田中角栄を助けて!と10億円を詐取した夫婦(12/26)

「私には親鸞聖人が乗り移り、過去や未来が透視できる」との触れ込みで心霊道場を開き、片や田中角栄の名前を悪用し財テク話を持ちかけ、物心両面から信者の信用を得ていた夫婦が、信者から集めた10億円を持ってドロンした事件が昭和56年に起こった。
姿を消したのは○川○子(当時44歳)とその内縁の夫の△山△夫(当時38歳)である。

○川と△山は金沢の飲み屋街でスナックやレストラン、喫茶店、うどん屋など4軒を経営していた。
最初のうちは、店の常連客に「儲け話がある。私に金を預ければ、月4分の高利になる」と持ちかけては融資させ、店の運転資金に当てる一方、別の出資者からの金で、利子を付けて返済。 騙し取ったお金で自転車操業を続けていたわけだ。

預貯金以上に有利な利殖であったため、口コミでそれが広がり、出資者も増える一方、「税務署には秘密だから、預り証は出せない」と証拠を残さない周到さも見せていた。
その頃から、出資者の姓名判断や手相占いなどをやっていたが、それが本格化。もちろん旦那が相談者の悩みを事前に調査しておくインチキ霊能力。ところが教祖役の女房の名演技で、熱烈な信者が増えていった。

そこで二人は、「懇意にしている田中角栄先生は今、お金を必要とされている。政治資金にするから、金を貸して欲しい。利息は1週間で3割付ける」などといって10億円の金を集めてそのままトンヅラした。
この事件、なかなか露見しなかったのだが、それは「天罰が下る」と被害者達が脅かされていたため。親鸞聖人と田中角栄にはいい迷惑だったろう。

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