人間、いくら「お金を貯めなさい」といわれても、「はい、そうですね」というわけにはいかないのです。お金を使って楽しみたい、美味しいものを食べたい、欲しいものは買いたいということで、お金を使うことが山ほどあるからです。
しかし、誰だって最初からお金が貯まったわけではありません。五〇〇万円、一千万円貯めた人でもそうなのです。ではどうやって貯めたのでしょうか。それは、毎月五千円、一万円のお金を給与から天引きにして貯めていったからできたのです。
この天引貯金こそが、賢いお金の貯め方の習慣をつくるのです。
天引きには、社内貯金や財形貯金など、会社に頼んでやってもらうだけでなく、自分の家の近くの給与振込銀行に手続きをして「積立預金」をする、郵便局の集金人に毎月、給料日にきてもらうなど、さまざまなやり方があります。
とくに、銀行で毎月積立預金をしている人は、カードをつくるときも、独立して何か商売を始めるときも、住宅ローンを借りるときも、信用力があるから、銀行も二つ返事で協力してくれます。
若いときにコツコツお金を貯めることは、金額がそんなに大きくなければ難しいことではありません。「私はローンがあるから、そちらのほうが先だ」という人がいるかもしれませんが、それは間違いです。ローンと貯金は同時にやるものなのです。なぜならば、コツコツと貯める習慣が、一〇〇万円のお金を貯め、五〇〇万円のお金を貯めることにつながり、ローンの返済を一気に減らしてくれるからです。
山に登るにも、いきなり頂上には登れません。足腰を鍛えながら、一合目から登り始めて、やがて頂上の絶景を眺めることができるのです。それは、まさに一歩一歩の積み重ねです。その習慣をつくることが大切なのです。賢い人は、このように少しから始めて、やがて大きな目的を達成していくのです。その反対が「借金グセ」で、お金を貯めるどころの話ではなくなります。
お金を賢く貯めるというのは、少しから始めるのがいいのです。いきなり大金を銀行にもっていっても、お金を貯める習慣はつきません。