金銭感覚という点では、「見栄を張る」ことほど、マイナスなことはありません。冠婚葬祭でも、日頃の付き合いでも、買い物をするときでも、見栄を張れば、お金は倍以上出ていきます。
ふだんの生活の中で、見栄を張っていたのでは、いくら稼いでも、いつもお金は不足になります。お金との付き合いで大切なことは、「出すときは出すが、普段は倹約に努める」という姿勢です。これが、お金の上手な活用のしかたです。
あなたがどんなに見栄を張って、お金を他人のために使っても、その人が喜んでくれるのはその時だけです。もしあなたが貧乏になれば、それまで世話になった人でも、どこかに逃げていってしまうでしょう。
人間というもの、世間というものは、そのようにできているのです。ですから、自分の力以上に見栄を張って、やせガマンをしてお金を使う人は、ピエロになってしまうのです。こんな馬鹿らしいことはありません。分相応のお金を使うのがいいのです。自分の身の丈で付き合うほうが、相手も安心します。無理をすれば、どこかで歪みが必ず出てきます。
「オレが勝手にやるのだから、金をどう使おうがいいではないか」という人がいるかもしれませんが、そんな人にかぎって、いずれお金に苦労し、他人のところに迷惑をかけたりするハメになります。
見栄を張るということは、「自分をよく見せたい」という人間本来の欲望です。しかし、それには自ずと限界があります。世間体や他人を意識するのは結構ですが、それで借金をしたり、貯金がさっぱりできず、「彼は金銭感覚がない」という烙印を押されたのでは、張った見栄も意味をなしません。
いくら他人にいいところを見せようとしても、あなたの「努力」はけっして実らないのです。大切なことは、自分のことは自分でしっかりやり、他人に迷惑を掛けないということです。