PART1 賢いお金の貯め方・増やし方
9.
銀行でも投機に失敗するのだから運用は慎重に(10/12)

銀行の悪質な貸付が問題になっています。それも、最近のことではなく、昔からの総会屋との腐れ縁を、何代もの頭取が引き継いできたのです。

なぜそんなことになるかといえば、預金者に知られると困る経営上の失敗や重役の個人的なスキャンダルを抱えているからです。

さらに、地価の下落や株の暴落を予測できずに、大きな損失を出しています。銀行にとって、唯一安定的な収入は、個人の住宅ローンなのです。個人から安い金利でお金を預かり、高く貸して利益を得る―これは銀行の本業ですが、やはり本業がイチバン儲かるのです。

銀行のような信用を重んじるところでも、為替相場や先物取引に多額のお金をつぎ込んで、大きな損失を出します。これは、銀行のギャンブルです。銀行でもギャンブルは成功しません。一般の会社も、個人も同じです。

このように、お金に関してはプロであるはずの銀行が、魔がさしたかどうかわかりませんが、大きな損を出しています。とくに、バブルのときには、不動産業者やディベロッパー、そしてゴルフ場の開発、ビル用地の地上げに、巨額なお金を貸して、それがほとんど回収できない状態です。いわゆる「不良債権」です。

銀行は、金融不安の防止とかいって、大蔵省から守られますが、個人が失敗しても、誰も守ってくれませんし、助けてはくれません。

ですから、私たちは自分が賢くなり、自己責任をもってお金を使い、運用しなければなりません。銀行マンから「あの土地は必ず上がりますから、買っておいたほうがいいですよ。お金を貸しますから」などといわれて、もっとも地価の高いときに、宅地を買った人も多いことでしょう。それがいまや、売るに売れない状態です。

運用に失敗したとき、銀行の責任にしたり、証券会社の責任にしても、何も解決しません。自分のことは自分で守る、という精神が大事なのです。プロのはずの銀行・証券会社の引き起こした事件を見ても、私たちは、お金というものを安易に考えてはならない、やたらに人を信用してはならない、ということがわかるはずです。

お金の運用はよほど慎重に取り組まないと、だまされたり、失敗する可能性が多いもの。失敗したら、自分が損するだけで、誰も弁償してくれません。

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