独立開業する前に大切なことは、仕事のノウハウ、経営のノウハウをしっかり身につけること。それも並のものではなく、トップクラスのノウハウを身につけることです。
さらに大切なことは、会社にいるときから、同業者や取引業者の人たちと交流し、信頼関係を築くことです。あなたは、一人では何もできません。しかし、会社の名詞を使い、会社の立場を使って、いろんな取引先に対して好意をよせる、便宜をはかる、仲良くするということは、いくらでもできます。こうしたことが、後で独立開業したときに「応援しましょう」という人の輪をつくり、サラリーマンから事業主へとスムーズに移行していくことができるのです。
私の知人は、サラリーマン時代に、人脈をたくさんつくりました。その人がいなければ、会社が保たないくらい重要な人物だったのですが、ワンマン社長にはあまり用いられず、やがてその人は独立しました。ところが、いままで会社を通じて頼まれていた仕事が、独立開業したその人のところに集中し始めたのです。それは、彼が会社に勤めていた頃に築いた信頼関係、彼の実力があったからです。何か仕事をやるにしても「あの人に頼む以外ない」といわれるつながり、実力をつくっておくことが大事なのです。
また、会社を辞めるときには、会社の人たち、とくに社長や上司と喧嘩をして辞めないことです。日本の社会は、横のつながりで成り立っていますから、同じ業界で仕事をしていくなら、前の会社とも仲良くするほうがいいのです。会社を辞めた後でも、お互いにプラスを分かち合えるならば、いまいる会社の人たちを大切にし、辞めた後でも付き合える間柄にしておくことです。