社長とサラリーマンの違いは、その責任の重さと、働く密度です。サラリーマンであれば、朝の始業時間から夕方まで働き、与えられた仕事をこなしていればよかったでしょう。残業をしても、きちんと残業手当が支給されます。
しかし、社長となったからには、すべてを自分がこなさなければなりません。営業、製造、経理、対外的な付き合いは、すべて自分の仕事です。さらに、新しい分野の開拓もしなければなりません。頭を二四時間フル回転させなければなりません。また、開業当時は休みはなく、残業は当たり前です。そのように働かなければ、この世の中で生き残ることはできません。
しかし、それも三年、四年とやっていくうちに基盤もでき、あなたへの信頼、信用も築かれていきますから、後はひとつの流れの中で、あなたは仕事を続けていけます。自分の会社のためなら、会社を大きくするためになら、時間を費やす、休日を捨てて行動するということは、けっして辛いことではありません。
サラリーマンでそんなに仕事をさせられたら、ストレスがたまってしまいますが、やったことは全部自分のためになる、自分の会社のためになると考えれば、どんなに仕事がきつくても、耐えられるものです。それは、将来への大きな布石であり、やればやるほど自分にとってプラスになることを考えれば、苦労は喜びに変わり、力に変わっていくのです。
社長になったからには、あなたはいろいろな面で勉強しなければなりません。経済界の動きをチェックし、各種のセミナーに参加したり、異業種交流に参加したり、いろいろなつながり、いろいろな情報を収集し、会社のすすむ方向をシビアに見つめ、新しい製品、新しい部門を発見していかなければなりません。いまうまくいっている仕事が、明日もうまくいくと限らないのです。
こうした努力が、あなたの社長としての実力を次第に育てていってくれます。社長としての実力が備わっていけば、事業のほうも軌道に乗ってきます。独立するということは大変なことですが、一生懸命に頑張れば、必ず報われるものなのです。