左京区にある、何の変哲もない児童公園。 付近に住む子供たちの格好の遊び場所として、のどかな光景が広がるこの公園にも、なぜか霊にまつわる噂が隠れている。
「あの公園が出来てすぐの頃、5歳ぐらいの男の子が転んで、頭を打って死んじゃったのよね。 そのお母さんはその後、どこか遠くへ引っ越しちゃったけど、ちゃんと供養をしなかったらしく、今でもその子の霊が出るって話よ」
近所のおしゃべり好きの奥さんが、そんな話を聞かせてくれた。 その奥さんは、もう一つ別の話もしてくれた。
「あの公園を作ってる時、工事中の作業員が車に跳ねられて、死んだらしいの。 その人、婚約者がいたそうで、その婚約者が毎日のようにここにお参りに来ていた時期があったのよ。 私は信じないけど、ここって、出るのかもね」
おしゃべり好きの奥さんは、一気にまくしたてると、「この話、誰にも言わないでね」と念を押し、帰っていった。
そんな噂話など知らない斉藤要子(仮名、25歳)さんがこの公園に寄り道したのは、彼氏と喧嘩をしたからだった。 時間は夜の11時過ぎ。 泣き腫らした目を冷まそうと、偶然、通りかかった公園に立ち寄ったのだった。
「健ちゃんのバカ、もう別れてやる!」
気の強い斉藤さんは、1人でブツブツと、恋人への不満を声にした。 すると、その時、「大丈夫、大丈夫」と誰かの優しい声がした。
「誰?」
周囲を見回す斉藤さんだったが、この時間、公園に人がいるはずもない。
「大丈夫、大丈夫」
また同じ声だ。
「誰? 誰かいるの?」
斉藤さんが呼び掛けても、相手からの返事はない。 少し、怖くなった斉藤さんが、もう帰ろうと立ち上がったとき、公園の隅のほうで、人影が動いたような気がした。
「やだ、変質者かも、襲われたら大変!」
斉藤さんの想像とは裏腹に、その人影が近寄ってくる気配はない。 それよりも、その人影は大きくなったり、小さくなったりしながら、その場で上下運動を繰り返している。
「誰なの! 警察呼ぶわよ!」
斉藤さんが大声を出すと、その影はス――ッと天まで伸びて、夜空の中に消えていった。 影が消えるのを確認し、公園の隅に走りよった斉藤さんは、そこにボロボロになったクマの縫いぐるみを見つけたと言う。
その影は、過去に亡くなった子供が斉藤さんと遊んで欲しくて現れたのだろうか。
(関西怨念地図より)

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