京都

真っ黒な影(長居)

 

 大阪市東住吉区にある長居公園は大阪を代表する公園の一つ。 広大な敷地にはワールドカップサッカーの会場にもなった陸上競技場や植物園、自然史博物館などが整い、一年を通じて活気のある公園である。 しかし、ここにもまた、心霊現象の噂が飛び交うあるスポットがあるというのだが‥‥‥。

大阪市に住む門田理恵子さん(仮名・25歳)はスポーツが大好きなアウトドア派の女性である。
毎週、長居公園でのジョギングを欠かさず、「長居公園は私の庭」とまで言い切るほど、彼女は隅から隅までを知り尽くしていた。 そんな彼女の恐怖の体験を信じられるだろうか。
その日、門田さんは仕事を終え、いつものように長居公園へのジョギングに向かった。 残業で、スタート時間は少し遅くなってしまったが、勝手知ったる公園、門田さんは何の不安も感じずいつものコースを走り始めた。 だが、次第に日は落ち、足元が見えにくい。 「今日はコースを短縮して、早めに上がろうかな」と思いながら門田さんは少しだけピッチを上げた。
「あっ!」
何かにつまずいたのか、小さな声を上げ、門田さんは転倒した。 見ると、靴ひもがほどけている。 「しっかり結んだはずなのに」 自分に文句を言いながら、靴ひもを結び直そうと、道端に座り込んだ門田さんだったが、その時、彼女の目に映ったのは自分をすっぽりと覆い尽くす真っ黒な人影。
「誰?」
後ろを振り向いたが、そこには誰もいない。
「変だな、今の影。もう日は暮れているし、街路灯もないから影なんか出来るはずないのに」
少しの疑問を抱きながら、あらためて靴ひもに手をやると、再び巨大な影が門田さんを襲った。
「何なのよ! 誰かいるの!」
怒ったように、周りを見回す門田さんだったが、やはり誰もいない。 急に背筋に寒気を感じた門田さんは手早く、靴ひもを結び、その場から立ち去ろうとしたが‥‥‥
「キャアアアア――――!」
先ほどの黒い影が門田さんの行く手を遮(さえぎ)るように現れ、「こっち、こっち」と手招きをしているように見える。
「やめて――――!」
命からがらの思いで、走り出した門田さんだったが、その影はいつまでも脳裏に焼き付き、門田さんは眠れない夜が続いたと言う。
果たして影の正体は霊だったのだろうか。

(関西怨念地図より)

怨念MAP


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