そもそも「M資金」とはどういう類の金なのか、ここからストーリーをスタートさせよう。
「M資金」のMは、終戦直後の日本を統治した「GHQ」の経済科学局(ESS)のマーカット少将の頭文字をとったものとも、マッカーサーに由来
するものともいわれている。
当時、経済科学局は日本の経済機能のすべてを統轄していた。その局長であるマーカット少将は、いわば当時の金融経済の支配者だった。ここに秘密資金がプールされていたというのが話の発端である。
秘密資金がどのような性質のものだったかについては諸説がある。有力視されているのは、日本を占領した際に日本軍から接収した、当時の為替レートで900億円にものぼるとみられる貴金属類。日本の侵略行為の被害にあった国々への賠償金に充てられる予定だったものを、さまざまな対外工作費にしようと秘密裏にプールされたというものだ。
なかでも、すでに冷戦時代を迎えつつあった世界情勢のなかで、アメリカ軍は朝鮮戦争のための秘密工作資金にあてる目的だったといわれている。
また、日本が社会主義国化するのを防ぐため、吉田茂を宰相にするための応援資金に用いられたとも、日本社会党をスパイするための資金だったと言う説もある。
「M資金」の原資として、他に敗戦国日本を戦後統治しようとした「GHQ」が、ガリオア・エロアという名の対日救済政策によって持ち込まれた物資の売り上げ積立金であるとする説もある。
日本復興のための基金として用意された金が、そのまま日の目を見ることなく貯えられ、ごく一部の人間がいまも管理しているとも伝えられた。
「M資金」のことを別名「ガリオア・エロア資金」と呼ぶのは、この史実に基づくものだ。これらの資金がそれぞれ存在し、それらを総合した秘密資金を「M資金」と呼ぶのだと力説し、今日も企業に融資話をもちこもうと暗躍するブローカーもいる。
こうした性質の秘密資金が、いまも日銀の地下室にプールされている、いやスイス銀行に預けられ、いまでは利息として凄まじい額がついており、しかるべき、融資先を探していると言うのが、話の発端となっている。