金融今昔物語4 サラ金の督促から逃れる方法(6/19)


免責だ自己破産やと策を嵩じるんは性に合いまへん。

かというて「金など返せん!」と

開き直るほどの勇気もない。

とにかく、あのシツコイ督促さえなくなったら、

平穏無事にくらせるのやけど・・・・。

借りた金を返さんと、そないなムシのええ話があるわけへん。

思うんは甘いちゅうわけや。

ちーとばかし工夫で金融業者に取り立てて諦めさせる、

耳寄りな情報があるんや。

これから紹介するんは、100万円前後の借金を背負いながら、

見事に督促を煙に巻き、のうのうと暮らしてんヤカラの話や。

 

「配達先不明郵便」で督促がピタッとやんだ。

ある男の話であるが、自他ともに認めるギャンブル中毒や。

給料の殆んどを競馬、パチンコに注ぎ込み、

気が付けば3社の無人契約機から80万円を引き出しとった。

「それくらいすぐ返せる思っとったけど、

あまかったちゅうわけや。」

生来の気象の荒さが災いして、

社長と衝突、会社を首になりよった後は、

パチンコ三昧の日々。

これでは借金返済やらなんやら到底無理な話なんや。

3ヵ月後、電話も止められはった男の自宅に

「お支払いが遅れとります」ちゅう督促状が

嵐のように舞い込み始めるわけや。

「とにかくウザうて困ったんや。

返しとうても金があらへんん。

だから、どうしろってんや」

理不尽にもぼちぼち怒りを覚え始めた男は、

これを阻止すべく一つのプランを実行に移す。

自宅の配達局に足を運ぶと窓口で転居届を提出

こう付け加えるのや。

「引っ越すんねけど、転居先がまだ決まっておらへんん。

で郵送物は送り返したかてらえまっしゃろか。」

郵便局によっては新住所が決まるまで

保管するとつっぱねる所もあろうが、

本人が転居を申し出とるのや。

これに逆らうわけにはいかん。

あとは念を入れて表札を外しておけば

あらゆる郵便物が「配達先不明」ちゅう扱い

送り返されるハズ・・・。

狙いは的中したんや。

手続きを施して以来、督促状がピタリと来なくなりよったのや。

「ほんでも普通、サラ金の人間が調べにくる思うでっしゃろ。

けど、1ヶ月、2ヶ月経ってもどなたはんも現れへん。

もうここに住んやないって判断した。

ごっつうもアッサリしてて拍子抜けしちゃおりましたわ。」

現在も男が自宅でのうのうと生活してることを考えれば、

結果として1枚の転居届で督促自体が終了してしもた

ちゅうことになりまひょ。

が、果たして現実にそないなことがまかり通るんか。

某大手消費者金融で、回収業務に携わっとるA氏は

こう語る。

「なんちゅうか、ようみなはんいわはると

このテレビCMなんかやっとるとこやなんてそないなもんや。

手紙が返ってきたら、ああ、逃げたんやな。

それ以上は深追いしまへん。」

やられっぱなしで泣き寝入り。

大手サラ金の督促は甘いと聞くが、まさかこれほどとは。

「単に損益の問題や。1番金かからへん督促は電話で、

次に督促状。だいたいはこれだけでカタをつけまんねん。

そら額にもよるんやけど、

20〜30万ぽっちで、わざわざ住民票をあげたり、

人を送ってたらキリがおまへん。

企業の利潤を考えたらサッサと新規の客を見つけたほうが

マシっちゅうことです。」

もっとも、こらあくまで大手に限定された話。

不良債権を極力抑えたい中小の金融業者は住民票をあげ、

しつこく自宅へ督促をかけてくることをお忘れなく。

債権者アパートにダミーの転入届

 

次に登場するのは、サラ金4社から150万を摘んだ男や。

もともと「酒もギャンブルもほどほど」で

借金と無縁の生活を送っていた男やけど、

ある女性との出会いによって

大きく運命を変えられてしまう。

「スナックの女性に生活費だなんだって

10万ずつぐらいせびられて。

自分は真剣に付き合っているつもりでしたから・・・・。

ま、いいカモだったってコトなんやな。」

気が付けば、女はドロン

残ったのは150万の借金だけという。

同じ男として同情を禁じえない悲惨な状況に陥る。

「3ヶ月ぐらいは真面目に返していたんですが、

アホらしくて。別に俺が使った金じゃないし。」

いっそトンズラしてしまおうかと思ったが、

今の生活を捨てるのも覚悟がいるわけや。

「で、街金をやっていた人物に相談を持ちかけたところ、

債務者アパートの存在を教えてもらったんや。」

債務者アパートとは、多額の負債を抱えた者が

借金取りを撹乱させるために、

ダミーの住民票を置いておく為の住まいのことなんや。

「普通、サラ金の督促は契約時の住所に

向けられると思われる。でもその人物によると、

取立ての人間は原則として最後の住所だけに足を運ぶ、と。

つまり、その時に住民票がおいてある場所が重要なんですわ。」

少し前に某宗教団体の信者が身分を偽って

アパートの一室に道場を開いていた。

なんて話をおぼえているやろう。

実際は生活してしないにもかかわらず、

狭い一室に十数人の住民登録

ひどい時は空き部屋にまで勝手に届がだされていた。

当然、大家や役所は知る由もない。

というよりは、チェックしようがないんや。

男は早速、そんな物件を捜しにかかる。

「場所は空き部屋ならどこでもいい。

過去の住人の郵便物が山積みになっていればベストかな。

重要なのは、汚くてボロイことや。

一番の狙いは督促にきた人間を絶望させることですから。

こんなヒドイ暮らしなら、カネだってないやろう。

って諦めさせなきゃだめなんや」

ほどなく、男は〇〇県××市にそれらの条件を満たす

木造アパートを発見、空家に転居届を提出するんや。

そして万全を期す為、自宅を出て友人宅に潜伏、

いよいよ返済を滞こらせ始める。

半信半疑なところもあったんやけど、

3ヶ月程たって自宅に帰ったら、何もない。

そろそろ半年が経ちますが、

サラ金の人間どころか、督促状すら来ませんからね。」

この偽装工作を某中堅金融会社の人物に尋ねると、

「正直、ここまで手のこんだことをされたら、

もうお手上げです。足取りがぷっつりと消えたわけだから。

昔は戸籍まであげて、過去の転籍先までたどったもんですが、

今そんなことするのはヤミ金ぐらい。

あと、我々がやるのは、

そこから住民票が動くのを見張るぐらいです。」

ここまで読んで、督促なんてチョロもの。

こんな借り手市場ならばドーンとツマんで

サラッとかわせばいい。と。

しかし、オイシイことばかりではにのが現実だ。

前での中堅金融会社の人物は、

「こんな手が使えるのは一回限りなんや。

しかも、新規の客でいいとこ100万が限度

大きな借金がしたければそれなりに実績がないと無理なんで。

ビギナーズラックって考えたほうがいいです。それは・・・。」

ただ、これは裏を返せば一回だけなら督促が振り切れると

お墨付きをもらったようなもの。

ワンチャンスに賭けるかコツコツ返すか、選ぶのはあなた次第です。

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